ビットコインは1億5000万円になる。アーサー・ヘイズの分析結果を解説

アンゴロウ

笑顔が素敵でスリムかつ筋肉質な体格の人が、ビットコインが1億5000万円になると言っています。

アーサー・ヘイズ氏です。

一見、ビットコインを買ったプロのバスケットボール選手に見えます。

BitMEX元CEOアーサー・ヘイズの写真

ストリートバスケから這い上がったNBAのスーパースターが、暗号資産の仕組みはさっぱり分からないけど、心もお金も余裕ありまくりなので、とりあえずビットコイン買ってポジショントークをしているように見えます。

実は彼、NBAプレイヤーではなく、ペンシルベニア大学のウォートン・スクール卒業の頭脳プレイヤーです。

ウォートン・スクールは全米でも常にトップ10に入るビジネススクールで、日本の大学に例えれば東大理IIIレベルの難関です。アメリカには大学が約4100校ある中で、この難易度はまさに選ばれし者。

ウォートン・スクールでは大学院でMBA(Master of Business Administration)を取得できます。

つまり、アーサー・ヘイズ氏はNBAプレイヤーではなく、MBAプレイヤーです。

ただし、経歴にMBAは記載されていないので、MBAは取得していなさそうです。

そんな頭脳派の彼が今回予想したのが、ビットコインの価格は

2025年末に25万ドル(約3600万円)

2028年末には100万ドル(約1億5000万円)

に達するです。

そこで、この記事では、アーサー・ヘイズ氏と暗号資産の関係と、ビットコイン100万ドル予想の理由を解説します。

アーサー・ヘイズと暗号資産

ヘイズ氏は、ペンシルベニア大学を卒業したあと香港に渡り、ドイツ銀行やシティグループで株式デリバティブのトレーダーとして勤務しました。

2014年に暗号資産デリバティブ取引所「BitMEX」を共同設立し、CEOになりました。

BitMEXといえば、日本でも人気のあった最大100倍のレバレッジ取引ができる取引所です。

例えば、資金が100万円あれば、最大1億円分の取引ができます。

100万円をレバレッジ100倍でビットコインをロング(買いポジション)した場合、BTC価格が1%上がれば100万円の利益になり、1%下がれば資金が吹き飛ぶ、ハイリスク・ハイリターンの世界です。(実際は、証拠金維持率の関係で0.5%程度の下落で強制決済)

そんなスリル満点の取引所がBitMEXであり、2017年頃の仮想通貨バブルのときは日本語非対応にもかかわらず、多くの日本人が利用していました。

人気の理由は、当時の日本の取引所はレバレッジ上限が25倍(のちに4倍、現在は2倍)に制限されていたため、より高い倍率を求めるトレーダーが海外に流れ、BitMEXは板が厚く、本人確認せずに利用できたからです。

しかし、2020年の日本の法改正により、BitMEXは日本居住者へのサービス提供を終了しました。

その後、アメリカ当局にマネーロンダリング防止およびKYC義務の不履行で起訴され、ヘイズ氏は罪を認めて2022年に自宅軟禁判決を受けました。

彼はBitMEXの経営からは退きましたが、積極的に暗号資産の分析をし、情報発信を続けて、今年ビットコイン100万ドル予想を発表したという流れです。

ちなみにBitMEXといえば、2024年3月にビットコインが-88%急落するフラッシュクラッシュが発生したときは驚きましたね。

ビットコイン100万ドルの論理

ヘイズ氏の最新ブログ「Fatty Fatty Boom Boom」で、ビットコインが100万ドルになる理由を解説しています。以下がその主なポイントです。

1. 米国債の価値低下(緩やかなデフォルト)

2021年から2025年にかけて、米国債の価値は金に対して64%、ビットコインに対して84%下落しました。

実際のデータを確認してみたところ、米国7-10年国債ETF(IEF)の価格をBTC建てで見ると、2022年11月の0.0062 BTCから2025年5月には0.0009 BTCへ。たった2年で実に-85.5%の下落です。

ビットコイン建ての米国7-10年国債ETF(IEF)の月足チャート

ヘイズ氏は、これはアメリカが2008年の世界金融危機以降、通貨を刷りまくって問題を解決する道を選び、実質的なデフォルト(slow default)を始めた結果だとしています。

2. 外国資本流出

現在のアメリカ経済は、外国人が米国資産(株、債券など)を買うことで資本が流入し経済が回る構造に依存しています。しかし今後は、この外国資本頼みのモデルを断ち切り、国家主導で経済を再構築しようとする動きが強まると見られます。

そのために外国人の保有資産への課税強化や、資本を国内に囲い込む規制(資本規制)が導入される可能性があります。その結果、外国人は米資産を売却し、代替手段として金やビットコインへ資産を移す流れが加速することになります。

しかし、金は物理的で中央管理が必要なので、こうした規制の中では自由に売買や移動できなくなります。一方、ビットコインは中央管理が不要で、グローバルに資本を移動できるため、金よりビットコインが逃避先として有利になると見ています。

3. ドル安とインフレの進行

外国資本の流出によって米国株や債券、不動産が下落すれば、FRBや財務省は市場の下支えを行わざるを得なくなります。結果として量的緩和の再開、金利の低下、ドル安、そしてインフレが進行。

また、輸出国の通貨高が進行。米ドルは相対的に下落し、ビットコインはhard currencies(ハードカレンシー)として買われることになる。

ちなみに、ハードカレンシーは、価値保存としての「硬さ」=インフレに強い通貨のことです。

4. 市場への資金流入インパクト

現在、世界のポートフォリオ資産の総額は約33兆ドル。そのうち10%(3.3兆ドル)がビットコイン市場に流れ込めばどうなるか?

現在、取引所は約3,000億ドル分のビットコインを保有していて、その10倍の資金が市場に流入しようとすれば、価格は10倍よりもはるかに大きな上昇となるとヘイズ氏は見ています。

以上のように、ヘイズ氏は、トランプ関税の結果として起こる「米国債の価値低下・資本流出・ドルの価値低下、インフレ」によって金やビットコインに資金が流入し、世界のポートフォリオの一部が暗号資産市場に流れ込みはじめることで、ビットコインは10倍よりも大きく上昇すると述べています。

ビットコイン爆上げに備える

ムーディーズは2025年5月16日、米国債の格付けを「Aaa」から「Aa1」へと引き下げました。米国の債務は現在36兆ドルを超え、持続可能性に疑問が投げかけられています。

一方、世界21の中央銀行の統計を元にした「グローバルM2(世界の通貨供給量)」は膨張を続け、毎日のように過去最高を更新していて、現在は110.8兆ドル(約1京6000兆円)です。

2013年から2025年5月までの世界の通貨供給量のグラフ

今後、彼の予想どおりに2028年までにビットコインが100万ドルに到達するかはまだ分かりませんが、今まさに世界経済の構造そのものが変わりつつあることは確かです。

アーサー・ヘイズ氏の分析結果に、耳を傾ける価値はありそうです。

兆候を見逃さないように備えておきましょう。Mになれ