アメリカ50州のビットコイン準備金の法案審議進捗まとめ

アメリカの50州は、すべての州が独自の形で準備金を保有しています。
準備金を保有する目的は、景気後退や自然災害などの予期せぬ財政危機に対応するためや、公務員の退職後の年金を払うためや、道路や教育などの公共サービスのためだったり、州の住民が安心して生活できるためにに準備金を保有しています。
現在の準備金の保有資産は、現金、債券、株が一般的ですが、その準備金にビットコインを追加することを検討するアメリカの州が増えています。
背景にあるのは、過去数年間続いているインフレ(物価上昇)です。
インフレ率は1年間で物価が全体的に何%上がったのかを表した数値です。アメリカでは2021年3月から2025年現在までずっと2%以上のインフレ率が続いていて、9%になったこともあります。
現金や債券は額面の金額で損することはほぼ無いものの、準備金のような何十年も保有する資産の場合、インフレ率の高い国では現金は持っているだけでどんどん資産が目減りし、購買力が低下していきます。
そこで州議会の議員たちは、州の準備金をインフレから守るために、準備金に貴金属やデジタル資産を追加してはどうか提案している流れです。
金などの貴金属には希少性があり、ビットコインも供給量が2100万枚に制限されている希少性のある金融商品のため、インフレヘッジ(購買力の維持)のための手段として注目されつつあります。
トランプ政権は国家準備金としてビットコインを備蓄する方針を打ち出しているので、アメリカ政府がビットコイン準備金を始めたら、州のビットコイン準備金検討の追い風になること間違いありません。
2025年1月16日現在はテキサス州、ペンシルベニア州、オハイオ州、オクラホマ州、ニューハンプシャー州の5州でビットコイン準備金の法案が提出されています。
下表はアメリカ50州の2023年の準備金ランキングです。
No | 州名 | 2023見積 | 準備金5% |
---|---|---|---|
1 | カリフォルニア | 520.2億ドル | 26.0億ドル |
2 | ニューヨーク | 389.2億ドル | 19.5億ドル |
3 | テキサス | 354.8億ドル | 17.7億ドル |
4 | ミネソタ | 160.5億ドル | 8.0億ドル |
5 | フロリダ | 139.1億ドル | 7.0億ドル |
6 | マサチューセッツ | 134.0億ドル | 6.7億ドル |
7 | ペンシルベニア | 129.8億ドル | 6.5億ドル |
8 | ジョージア | 122.9億ドル | 6.1億ドル |
9 | ニュージャージー | 95.3億ドル | 4.8億ドル |
10 | オハイオ | 94.9億ドル | 4.7億ドル |
11 | ウィスコンシン | 88.3億ドル | 4.4億ドル |
12 | ノースカロライナ | 87.6億ドル | 4.4億ドル |
13 | アラバマ | 69.7億ドル | 3.5億ドル |
14 | テネシー | 68.6億ドル | 3.4億ドル |
15 | オレゴン | 66.8億ドル | 3.3億ドル |
16 | ミズーリ | 60.1億ドル | 3.0億ドル |
17 | ケンタッキー | 54.1億ドル | 2.7億ドル |
18 | バージニア | 52.5億ドル | 2.6億ドル |
19 | メリーランド | 52.3億ドル | 2.6億ドル |
20 | ミシガン | 47.9億ドル | 2.4億ドル |
21 | サウスカロライナ | 47.8億ドル | 2.4億ドル |
22 | オクラホマ | 45.7億ドル | 2.3億ドル |
23 | アリゾナ | 43.6億ドル | 2.2億ドル |
24 | インディアナ | 40.7億ドル | 2.0億ドル |
25 | ワシントン | 40.6億ドル | 2.0億ドル |
26 | ユタ | 39.9億ドル | 2.0億ドル |
27 | ハワイ | 34.5億ドル | 1.7億ドル |
28 | コネチカット | 33.4億ドル | 1.7億ドル |
29 | デラウェア | 31.3億ドル | 1.6億ドル |
30 | カンザス | 29.7億ドル | 1.5億ドル |
31 | ネブラスカ | 29.6億ドル | 1.5億ドル |
32 | ウェストバージニア | 29.6億ドル | 1.5億ドル |
33 | ニューメキシコ | 28.4億ドル | 1.4億ドル |
34 | アイオワ | 25.0億ドル | 1.2億ドル |
35 | コロラド | 24.6億ドル | 1.2億ドル |
36 | ルイジアナ | 23.8億ドル | 1.2億ドル |
37 | イリノイ | 21.1億ドル | 1.1億ドル |
38 | アーカンソー | 19.6億ドル | 1.0億ドル |
39 | ノースダコタ | 18.7億ドル | 0.9億ドル |
40 | アラスカ | 18.4億ドル | 0.9億ドル |
41 | ネバダ | 15.1億ドル | 0.8億ドル |
42 | ワイオミング | 14.9億ドル | 0.7億ドル |
43 | アイダホ | 13.1億ドル | 0.7億ドル |
44 | メイン | 9.3億ドル | 0.5億ドル |
45 | バーモント | 6.6億ドル | 0.3億ドル |
46 | モンタナ | 6.2億ドル | 0.3億ドル |
47 | ミシシッピ | 5.8億ドル | 0.3億ドル |
48 | ロードアイランド | 5.2億ドル | 0.3億ドル |
49 | ニューハンプシャー | 2.5億ドル | 0.1億ドル |
50 | サウスダコタ | 2.2億ドル | 0.1億ドル |
米24州がビットコイン準備金検討中(2025.2.16)
ビットコイン準備金を検討するアメリカの州がどんどん増えています。
現在、50州のうち24州がビットコイン準備金を検討していて、デジタル資産全般の検討も含めると34州です。
一番進んでいるのはユタ州で、法案が下院を通過し、上院の審議に入っています。
ノースダコタ州、ワイオミング州、ペンシルベニア州は法案が否決されました。

テキサス州でビットコイン準備金の公聴会(2025.2.19)
テキサス州議会でビットコイン準備金の公聴会が開催されました。
議長「ビットコインは米国財務省によってデジタルゴールドとして言及されており、金融市場において認められた資産となっています。」
法案が購入対象としているのはビットコインと時価総額5000億ドル以上の暗号資産です。イーサリアムの時価総額は3200億ドルの2位なので、購入対象になる暗号資産は今のところビットコインだけです。
アメリカ州準備金ランキング(上の表)を見ると分かるように、テキサス州は準備金ランキング3位なので法案が上院を通過したときはなかなかのインパクトになりそうです。