アメリカ50州のビットコイン準備金の法案審議進捗まとめ

2025年2月26日

アンゴロウ

アメリカの50州は、すべての州が独自の形で準備金を保有しています。

準備金を保有する目的は、景気後退や自然災害などの予期せぬ財政危機に対応するためや、公務員の退職後の年金を払うためや、道路や教育などの公共サービスのためだったり、州の住民が安心して生活できるためにに準備金を保有しています。

現在の準備金の保有資産は、現金、債券、株が一般的ですが、その準備金にビットコインを追加することを検討するアメリカの州が増えています。

背景にあるのは、過去数年間続いているインフレ(物価上昇)です。

インフレ率は1年間で物価が全体的に何%上がったのかを表した数値です。アメリカでは2021年3月から2025年現在までずっと2%以上のインフレ率が続いていて、9%になったこともあります。

現金や債券は額面の金額で損することはほぼ無いものの、準備金のような何十年も保有する資産の場合、インフレ率の高い国では現金は持っているだけでどんどん資産が目減りし、購買力が低下していきます。

そこで州議会の議員たちは、州の準備金をインフレから守るために、準備金に貴金属やデジタル資産を追加してはどうか提案している流れです。

金などの貴金属には希少性があり、ビットコインも供給量が2100万枚に制限されている希少性のある金融商品のため、インフレヘッジ(購買力の維持)のための手段として注目されつつあります。

トランプ政権は国家準備金としてビットコインを備蓄する方針を打ち出しているので、アメリカ政府がビットコイン準備金を始めたら、州のビットコイン準備金検討の追い風になること間違いありません。

2025年1月16日現在はテキサス州、ペンシルベニア州、オハイオ州、オクラホマ州、ニューハンプシャー州の5州でビットコイン準備金の法案が提出されています。

下表はアメリカ50州の2023年の準備金ランキングです。

No州名2023見積準備金5%
1カリフォルニア520.2億ドル26.0億ドル
2ニューヨーク389.2億ドル19.5億ドル
3テキサス354.8億ドル17.7億ドル
4ミネソタ160.5億ドル8.0億ドル
5フロリダ139.1億ドル7.0億ドル
6マサチューセッツ134.0億ドル6.7億ドル
7ペンシルベニア129.8億ドル6.5億ドル
8ジョージア122.9億ドル6.1億ドル
9ニュージャージー95.3億ドル4.8億ドル
10オハイオ94.9億ドル4.7億ドル
11ウィスコンシン88.3億ドル4.4億ドル
12ノースカロライナ87.6億ドル4.4億ドル
13アラバマ69.7億ドル3.5億ドル
14テネシー68.6億ドル3.4億ドル
15オレゴン66.8億ドル3.3億ドル
16ミズーリ60.1億ドル3.0億ドル
17ケンタッキー54.1億ドル2.7億ドル
18バージニア52.5億ドル2.6億ドル
19メリーランド52.3億ドル2.6億ドル
20ミシガン47.9億ドル2.4億ドル
21サウスカロライナ47.8億ドル2.4億ドル
22オクラホマ45.7億ドル2.3億ドル
23アリゾナ43.6億ドル2.2億ドル
24インディアナ40.7億ドル2.0億ドル
25ワシントン40.6億ドル2.0億ドル
26ユタ39.9億ドル2.0億ドル
27ハワイ34.5億ドル1.7億ドル
28コネチカット33.4億ドル1.7億ドル
29デラウェア31.3億ドル1.6億ドル
30カンザス29.7億ドル1.5億ドル
31ネブラスカ29.6億ドル1.5億ドル
32ウェストバージニア29.6億ドル1.5億ドル
33ニューメキシコ28.4億ドル1.4億ドル
34アイオワ25.0億ドル1.2億ドル
35コロラド24.6億ドル1.2億ドル
36ルイジアナ23.8億ドル1.2億ドル
37イリノイ21.1億ドル1.1億ドル
38アーカンソー19.6億ドル1.0億ドル
39ノースダコタ18.7億ドル0.9億ドル
40アラスカ18.4億ドル0.9億ドル
41ネバダ15.1億ドル0.8億ドル
42ワイオミング14.9億ドル0.7億ドル
43アイダホ13.1億ドル0.7億ドル
44メイン9.3億ドル0.5億ドル
45バーモント6.6億ドル0.3億ドル
46モンタナ6.2億ドル0.3億ドル
47ミシシッピ5.8億ドル0.3億ドル
48ロードアイランド5.2億ドル0.3億ドル
49ニューハンプシャー2.5億ドル0.1億ドル
50サウスダコタ2.2億ドル0.1億ドル

米24州がビットコイン準備金検討中(2025.2.16)

ビットコイン準備金を検討するアメリカの州がどんどん増えています。

現在、50州のうち24州がビットコイン準備金を検討していて、デジタル資産全般の検討も含めると34州です。

一番進んでいるのはユタ州で、法案が下院を通過し、上院の審議に入っています。

ノースダコタ州、ワイオミング州、ペンシルベニア州は法案が否決されました。

テキサス州でビットコイン準備金の公聴会(2025.2.19)

テキサス州議会でビットコイン準備金の公聴会が開催されました。

議長「ビットコインは米国財務省によってデジタルゴールドとして言及されており、金融市場において認められた資産となっています。」

法案が購入対象としているのはビットコインと時価総額5000億ドル以上の暗号資産です。イーサリアムの時価総額は3200億ドルの2位なので、購入対象になる暗号資産は今のところビットコインだけです。

アメリカ州準備金ランキング(上の表)を見ると分かるように、テキサス州は準備金ランキング3位なので法案が上院を通過したときはなかなかのインパクトになりそうです。

テキサス州公聴会