年利10%の仮想通貨レンディングサービス「CoinOn」の先行受付が開始。サービス内容について疑問に思うこと
仮想通貨を会社に貸して一定期間後に利息をつけて返してもらえるサービスを「レンディングサービス」といいます。
仮想通貨を長期保有するときにハードウェアウォレットで保管すると何も利息はつきませんが、レンディングサービスを利用すれば何もしなくてもコインの枚数を増やすことができます。
ちなみに、レンディング(Lending)は「貸し出し」という意味です。
日本の仮想通貨取引所のbitbankが2018年4月からレンディングサービスを開始したことが話題となりました。
⇒引用元:bitbank「2018-03-15 お知らせ」
日本ではGMOコインという取引所も2018年4月からレンディングサービスを開始しました。
⇒引用元:GMOコイン「「貸仮想通貨」サービス開始のお知らせ」
下表は、2つ取引所のレンディングサービス(BTC)を比較したものです。
項目 | bitbank | GMOコイン |
---|---|---|
対応通貨 | BTC(追加予定) | BTC(ETH、BCH、LTC、XRPもある) |
満了期日 | 1年後 | 90日間 |
利率 | 1~5BTC 3% 5~10BTC 4% 10以上 5% |
5%/年 |
数量 | 1~1000BTC | 10~100BTC |
中途解約手数料 | 5% | (貸借数量 ×貸借日数×利率)÷365 |
貸したビットコインを満了期日より前に返してもらう場合、bitbankとGMOコインの両方とも中途解約手数料が取られます。中途解約すると逆に資産が減ってしまうことになるので、一度貸したら満了期日まで持っておく必要があります。
GMOコインは募集期間があり、10 BTC以上でないとレンディングサービスを利用できませんが、満了期日と中途解約手数料がbitbankよりも良心的になっています。
そして2018年8月30日、カウンティアバンク株式会社がレンディングサービスに特化したサービス「CoinOn」の先行受付を開始しました。
⇒引用元「CoinOn」
カウンティアバンク株式会社は、カウンティア株式会社と東証一部上場企業のVOYAGE GROUPの合弁会社なので信用力はあると思います。
ちなみに合弁会社(ごうべんがいしゃ)とは、複数の企業が出資して設立された会社のことをいいます。
仮想通貨参入の情報の影響かVOYAGE GROUPの株価は1ヶ月前の2018年7月末から約35%アップの爆上げをしています。
⇒引用元:Yahooファイナンス「VOYAGE GROUP」
下表はCoinOnのレンディングサービスの内容です。
項目 | CoinOn |
---|---|
対応通貨 | BTC |
満了期日 | 1日(毎日賃借料が貸出残高へ加算される) |
利率 | 毎日変動(日利0.027%を想定。年利にすると約10%) |
数量 | 1BTC以上 |
中途解約手数料 | 無し |
上記表を見ると分かるように、CoinOnのレンディングサービスは、bitbank、GMOコインよりも驚くほどお得なサービス内容になっています。
毎日が満了期日で利息(0.027%)が貸出残高へ加算されるので、中途解約手数料が存在しません。利率は毎日変動しますが年利約10%と想定されています。
つまり、いつでも引き出せる年利10%の預金サービス。こんなお得なサービスは見たことがありません。
下表は元手10 BTCを年利10%で運用した場合の資産の増え方を表したものです。
経過年数 | 資産 |
---|---|
- | 10 BTC |
1年後 | 11.00 BTC |
2年後 | 12.10 BTC |
3年後 | 13.31 BTC |
4年後 | 14.64 BTC |
5年後 | 16.11 BTC |
6年後 | 17.72 BTC |
7年後 | 19.49 BTC |
8年後 | 21.44 BTC |
9年後 | 23.58 BTC |
10年後 | 25.94 BTC |
10年後にはBTCの枚数が2.5倍になります。将来的にBTCの価格がいくらになるかにもよりますが、10年で2.5倍は非常に嬉しい運用です。
1つ思うのは、
話が上手すぎない?
です。
取引所がレンディングサービスでユーザーから借りた仮想通貨は、取引所の信用取引で貸し出す仮想通貨として使われます。なので、取引所が潰れたり、信用取引が過疎らなければ、利息は問題なく支払われます。(※事実関係を確認中)
また取引所にとっては、信用取引のサービス提供のための仮想通貨を自社資金で購入、保管する場合、価格が下落したときに含み損を抱えるリスクがありますが、ユーザーから仮想通貨を借りることでそのようなリスクが無くなる利点があります。
一方、カウンティアバンク株式会社は仮想通貨取引所ではないので、ユーザーから借りた仮想通貨は信用取引のサービス提供とは関係のないことに使われるはずです。
下図はカウンティアバンク株式会社の公式サイトのトップページです。事業内容に「仮想通貨取引事業」と書かれています。公式サイトにはまだトップページしか用意されていないので、事業内容についてこれ以上のことは書かれていませんでした。
⇒引用「カウンティアバンク株式会社」
下図はCoinOnの先行予約ページに記載されているCoinOnの特徴です。運営体制について、「最新のテクノロジーと金融工学を駆使し、リスクコントロールにつとめています。」と記載されています。
リスクコントロールを行うということは、借りた仮想通貨はトレードに利用するということでしょうか。
⇒引用「CoinOnの特徴」
貸した仮想通貨は何に使われて、どのようなリスクがあるのか先行予約ページからは判断できないので、メールで問い合わせてみることにしました。回答がもらえたら追記します。
競争優位性の源泉となるため現在は非開示にしているとの回答を頂きました。公表できる時期が来たら改めて発表するそうです。