日本政府が暗号資産税制見直し検討の進捗を報告しました
2025年1月31日の衆議院予算委員会で自民党の塩崎議員が石破首相と加藤財務大臣に暗号資産について質問をしました。
以下の動画は石破首相の質疑応答です。
塩崎議員「石破総理この分野についてはですね、残念ながらSNSなどでは石破総理が暗号資産あんまり好きじゃないんじゃないかという誤解が一部で広がっているわけでございますが、改めて日本における暗号資産の活用、デジタルエコノミーの発展に向けた総理のお考えをお伺いしたいと思います。」
石破総理「いや、別に好き嫌いの問題ではございませんのですが。先ほど来お話が出ておりますが、去年の4月にWEB3、ホワイトペーパー2024というもののご提言を委員を中心になさいまして、どれぐらい理解できたか、すごい自信があるわけではありませんが、大体ご提言の内容は把握をいたしておるつもりでございます。暗号資産を含めましたWeb3の健全な発展ということは極めて重要で、日本が抱えている社会問題を解決する、あるいは生産性を向上させる、そのために利用者の保護というものを確保しつつ、環境整備を進めていきたい。この中核になるのはブロックチェーン技術だと思っております。これは我が国としては、世界に先駆けて暗号資産の交換業者に登録制を採用するというようなことをやってきたわけでございまして、この環境整備にはさらに取り組んでいかねばならない。別に好き嫌いで物事申しておるわけではございません。よくまた学んでまいりたいと思っております。」
以下の動画は加藤財務大臣の質疑応答です。
塩崎議員「暗号資産に関する制度の再点検を進めていると承知しておりますが、2点確認させてください。この再点検というのは、与党の税制改正大綱、この内容を踏まえた内容か、そして、この検討はいつ頃までに結論が出るものか、お答えいただければと思います。」
加藤財務大臣「まず1点目でありますけれども、まさしく与党における税制改正大綱、これを踏まえた議論でございまして、大綱の中においては大きく必要な法整備をするということと、あるいは報告取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の整備等をすることを前提に、その見直しを検討すると。それを踏まえて暗号資産について議論をさせていただいておりますが、暗号資産については決済手段としての利用も見られる一方で、実際には投資目的で売買されているということが多いという指摘、また、関連する取引の市場が健全に発展するためには、利用者保護等が図られ、国民から広く信頼を得られることが不可欠であるといった指摘もあると承知をしておりまして、こうした指摘を踏まえて、金融庁においては、本年6月までを目途に暗号資産に関する制度の検証を行うこととしており、昨年秋より外部有識者による勉強会を開催しております。で、この勉強会では、現在は法令上決済手段として位置付けられている暗号資産を投資対象として整理することが適切か否かなどについて、利用者保護等との様々な観点から幅広くご意見を伺うこととしております。この勉強会における議論、また、先ほどお話がありました諸外国の状況などを参考にしながら、現在進めている検証結果に基づき、先ほど申し上げた与党税制改正大綱も踏まえて、税制も含めて必要な対応を検討していきたい、かように考えております。」
以下の画像は、石破総理が把握したWeb3ホワイトペーパー2024のタイトルです。

Web3ホワイトペーパー国家戦略「日本をWeb3の中心にする」
石破首相「Web3の健全な発展ということは極めて重要」
現在「日本に世界各国のWeb3企業や人材は全然流入せず、逆に日本のWeb3企業や人材がどんどん流出していて、原因に暗号資産の厳しい税制があると指摘されている」
Web3ホワイトペーパーを作成した自民党web3プロジェクトチームの座長は平将明議員でした。
2024年11月の平議員のデジタル大臣就任に伴い、web3プロジェクトチームは解消され、デジタル社会推進本部にweb3担当ポジションが新設されました。
平将明氏は当初、暗号資産税制改正を訴えていましたが、大臣になると、暗号資産を申告分離課税にするとWeb3のイノベーションを阻害する可能性について発言するようになりました。
デジタル社会推進本部のweb3担当は塩崎議員が主導していて、上記動画で質問をしているのは塩崎議員です。
今後の予定は、今年6月までに金融庁が検証を行い、その後、検証結果に基づいて暗号資産の税制の見直し検討が開始する予定となっています。
今年7月に参議院議員選挙が実施されます。
7月以降、暗号資産税制の見直し検討を開始する予定を発表したのは、7月の選挙で票を減らさないために自民党が画策した時間稼ぎの可能性もありえます。
選挙の票を見越した時間稼ぎよりも、日本経済を発展させるために今すべきことをスピード感を持ってやることに期待したい。
今年6月から7月に発表される金融庁の検証結果「暗号資産は国民の投資対象となるべき金融資産か、なるべきではない金融資産か」は要チェックします。