国税庁が公表している「仮想通貨所得の計算方法」の資料を分かりやすく解説。

2018年2月23日

本記事では仮想通貨取引で発生した所得の計算方法について説明します。

まず、株取引では源泉徴収の口座を利用すると、利益確定したときに税金を差し引いた金額を受け取ることになります。取引所が徴収した税金を国に収めてくれるので、自分で税金の計算や申告をする必要がありません。

例えば、太郎は証券取引所に1万円を入金し、トミタ自動車の株を100株1万円で買ったとします。


(※株券の紙は実際には存在しません)

 

数日後、トミタ自動車の株が100万円に爆上げしたので太郎は100株を売却しました。利益を計算すると100万円 – 1万円 = 99万円です。

この99万円がすべて太郎のものになるわけではなく、「譲渡益課税」という税金が取られます。税率は20.315%(=所得税15.315%+住民税5%)です。

今回の税金を計算すると、

99万円 × 0.20315 = 20万1119円

です。そして、太郎にはいくら戻ってくるか計算すると、

99万円 – 20万1119円 = 78万8881円

になります。税金の20万1119円は取引所が代わりに国に納めてくれます。

 

一方2018年2月現在、仮想通貨取引には源泉徴収の制度がまだありません。そのため、売買で利益が発生したら税金を自分で計算し、自分で税金を納めなければならないのです。

例えば、太郎は仮想通貨取引所に100万円を入金し、ビットコインを1BTC100万円で買ったとします。

 

数日後、ビットコインが250万円に爆上げしたので太郎は1BTCを売却しました。利益を計算すると250万円 – 100万円 = 150万円です。

株と同様に税金が取られますが、太郎には税金ぶんも含めた金額の250万円が渡されます。自分で税金を計算、または税理士に依頼して2月に国に税金を納める必要があるのです。

 

ビットコインを売却

 

しかも、仮想通貨の売買益は統合課税の「雑所得」です。つまり、給与所得と売買益を合算した金額から税率が決められ、株取引のように税率が一定ではなく、利益が高くなるほど税率が高くなるのです。

下表は所得税の税率一覧です。

課税される所得金額 所得税率 控除額 住民税
195万円以下 5% 0円 10%
195万円~330万円以下 10% 97500円
330万円~695万円以下 20% 427500円
695万円~900万円以下 23% 636000円
900万円~1800万円以下 33% 1536000円
1800万円~4000万円以下 40% 2796000円
4000万円超 45% 4796000円

⇒国税庁「所得税の税率

 

例えば、年間の給与所得が400万円、仮想通貨の利益が300万円だった場合、上記表から所得税率は23%になることが分かります。

給与所得にかかる税金を計算すると、

【所得税】(400万円 – 63万6000円)× 0.23 = 77万3720円

【住民税】400万円 × 0.10 = 40万円

 

仮想通貨の利益にかかる税金を計算すると、

【所得税】(300万円 – 63万6000円)× 0.23 = 54万3720円

【住民税】300万円 × 0.10 = 30万円

このように、税率は給与所得と仮想通貨の利益の合計値から決まることに注意して下さい。900万円と901万円では税率が10%も変わります。利益確定するときは今年の年収を考慮して、いくらぶん利確するのが節税になるのかをよく考えましょう。

また、仮想通貨の利益がマイナスの場合に、マイナスぶんを給与所得から引くことはできません。例えば、給与所得が400万円で、仮想通貨の利益がマイナス300万だったときに、所得合計は400万円 – 300万円=100万円にはならず、400万円のままです。

気を付けたいのは1800万円を超えると所得税と住民税を合わせ50%が税金になることです。どんだけ取るねん。

つまり、日本の仮想通貨長者は日本政府です。政府が仮想通貨取引に寛大なのは、税収が増えて美味しいからとも言えるでしょう。

仮想通貨所得の計算の具体例

所得になるのは仮想通貨を売って円に戻したときと普通は考えそうですが、実はそれだけではありません。仮想通貨所得の計算方法について国税庁が公開している資料があるので、それを参照しながら説明します。
⇒国税庁サイト「仮想通貨に関する所得の計算方法等について

仮想通貨の売却

 

上記の例は買って売るだけの単純な例です。4ビットコインを200万円で買って、0.2ビットコインを11万円で売っています。3.8ビットコインは手元に残っていますが売るまでは利益確定にはならないので、0.2ビットコインぶんでいくらの利益になったのかを計算しています。

仮想通貨の売買

1つ気になるのは税金の計算に「支払手数料を含む」と書かれている点です。これは取引所に払った手数料のことだと考えられますが、何で手数料を所得金額の計算に含めなければならないのでしょうか。

株の場合は手数料を引いた金額に税金が課せられます。後日、国税庁に質問して結果を追記しておきます。

 

仮想通貨での商品の購入

 

何と、商品を買ったときも所得になります。上記の例はビットコインを使って商品を購入した例です。

「商品購入のために支払ったビットコインを円に換算した価格」ー「ビットコインを買った価格(円)」=所得金額になります。

BTCの値札で買った商品は、商品を買った時点のBTCの時価を調べて円に計算しなおす必要があるのが大変です。ビットコインは本来通貨として使うものなのに、後々の税金計算が面倒でビットコインを使って商品を購入するのが嫌になるようなルールです。

仮想通貨で商品を購入

 

仮想通貨と仮想通貨の交換

 

「仮想通貨を円に換えると税金がかかるから、法定通貨と価格が連動するUSDTなどの仮想通貨に変えて保管しておこう。」と考えた人もいると思いますが、残念ながら、仮想通貨で別の仮想通貨に変えたときも所得になります。

例えば、ビットコインを使ってイーサリアムを買った場合、

「イーサリアムの時価(円)」ー「ビットコインを買った価格(円)」=所得金額になります。

ビットコインを他の仮想通貨を交換する

 

仮想通貨の取得価格

 

上記は仮想通貨を複数回購入したときの購入価格の算出方法について書かれています。移動平均法と総平均法の2通りがあります。

仮想通貨を複数回に分けて購入

 

移動平均法とは、ビットコインを購入する度に所有しているビットコインの購入価格の平均値を取得単価とする方法です。上記(1)~(5)の所得を実際に計算してみましょう。

(1)4BTCを200万円で買ったので購入価格の平均値を計算すると、

200万円 ÷ 4 =50万円。

つまり、1ビットコインあたり50万円で購入したという計算になります。

 

(2)0.2BTCを11万円で売ったので所得を計算すると

11万円 – 50万円×0.2BTC = 1万円

 

(3)15万5000円の冷蔵庫を0.3BTCを払って購入したので所得を計算すると、

15万5000円 – 50万円×0.3BTC = 5000円

 

(4)時価(60万円)の仮想通貨を1BTCを払って購入したので所得を計算すると、

60万円 – 50万円×1BTC = 10万円

 

(5)2.5BTCが余っている状態で2BTCを追加で購入したので、購入価格の平均値を計算すると、

(50万円×2.5BTC+ 160万円)÷ (2.5BTC + 2BTC)= 63万3333円

この後、ビットコインを売ったり、商品を購入したときは63万3333円を使って所得を計算することになります。

 

次に、総平均法についてみてみましょう。総平均法とは、1年間のビットコインの購入金額合計を個数で割ったものを取得単価とする方法です。ビットコインを購入したのは(1)と(5)なので、総平均法でビットコインの購入価格を計算すると、

(200万円+160万円)÷(4BTC + 2BTC)= 60万円

所得の計算は60万円を使って計算します。

(2)11万円 – 60万円×0.2BTC = -1万円

(3)15万5000円 – 60万円×0.3BTC = -25000円

(4)60万円 – 60万円×1BTC=0円

取得単価が上がることで所得がマイナスになりました。一見、節税になったように見えますが、総平均法は「継続して適用する」という条件、つまり、1年間のすべての取得単価に総平均法を使うという条件があります。

 

仮想通貨の分裂

上記はハードフォークによって登場した仮想通貨の取得単価は0円であることを説明しています。

2017年ではビットコインのハードフォークによってビットコインキャッシュを手に入れた人がいました。

例えば、ビットコインを2BTC持っていて、ハードフォークによってビットコインキャッシュ2BCHを手に入れたとします。その後、ビットコインキャッシュの価格が20万円になって2BCHを売ったときの所得は、

20万円×2BCH – 0円 = 40万円です。

 

仮想通貨に関する所得の所得区分

上記は普通のトレーダーにとっては関係のないルールです。仮想通貨を事業用の決済に使っている場合は事業所得として計上できるということです。

 

損失の取り扱い

上記は仮想通貨取引の損失(利益がマイナス)が発生しても、給与所得をマイナスしてはいけないことを説明しています。税率一覧のところで説明した内容と同じです。

所得にプラスはいいけどマイナスは駄目って何やねん。

 

仮想通貨の証拠金取引

上記はレバレッジ取引も現物取引と同様に総合課税になることを説明しています。

 

仮想通貨のマイニング

これは普通のトレーダーには関係のないことです。

マイニングとは、仮想通貨の整合性を保つために取引履歴を取引台帳に追記することを言います。追記するための計算処理を自分のコンピューターにさせ、追記が成功したときの報酬としてビットコインをもらうことをマイニングといいます。

日本は電気代が高いのと、高機能のマシンがないと太刀打ちできないので個人でマイニングをしている人はあまりいません。

まとめ

今回の話の注意点をまとめると以下になります。

・仮想通貨の売買益は「雑所得」として統合課税扱いになるので、給与所得と売買益を合算した金額から税率が決まります。レバレッジ取引も同じです。

・仮想通貨の売買益がマイナスの場合に、マイナスぶんを給与所得から減算することはできません。

・仮想通貨を使って商品を買ったときも所得計算の対象になります。

・仮想通貨を別の仮想通貨に交換しても所得計算の対象になります。

・ハードフォークで獲得した仮想通貨の取得単価は0円として所得計算をします。

・仮想通貨の取得単価の計算には移動平均法と総平均法の2通りがあります。

 

購入した仮想通貨を別のものに変えた時点で税金の対象になるので、商品を購入したり、別の仮想通貨に交換したりを繰り返していると所得計算が分けが分からなくなりがちです。そのため、一度購入した仮想通貨を何にも使わずにホールドするだけの「ガチホ」の人も多いです。

1998年に登場したFXトレード(外国為替証拠金取引)も最初は統合課税でしたが、2005年から申告分離課税が適用され始めました。仮想通貨取引も税制が変更されることも考えられるので、数年後の税制変更を期待して、信頼のおける仮想通貨をガチホするのもありかも知れません。

仮想通貨の流通が活発となって発展していくためにも、申告分離課税への変更、いや、無税に変更を期待します。

ちなみに、仮想通貨取引の損益計算をしてくれるサービスも最近登場してきているので利用してみてはどうでしょう。