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環境フレンドリーホールディングスが再エネ余剰電力でビットコインをマイニングすると発表

2025年7月28日、日本の上場企業・環境フレンドリーホールディングスが、ビットコインのマイニング事業を開始することを発表しました。今回のポイントは、「再生可能エネルギーの余剰電力」を活用してビットコインを掘るという点です。

太陽光発電所が完成したあと、電力会社の送電網へ接続するまでの2~3年間の待機期間を活用し、その間に再エネ電力を使ってマイニングをするというユニークな仕組みを導入します。

そこでこの記事では、環境フレンドリーホールディングスとはどんな企業か、再エネ余剰電力マイニングがビットコインの価格に与える影響を解説します。

目次

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、自然の力を利用して繰り返し得ることができるエネルギーのことを指します。代表的なものとしては、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどがあります。これらのエネルギーは、地球上に自然に存在しており、枯渇することなく利用できるため「再生可能」と呼ばれています。

ちなみに、バイオマス発電は木材や家畜の排せつ物、食品廃棄物などを燃やして発電します。燃やすことで二酸化炭素(CO2)は排出されますが、原料が成長する過程でCO2を吸収しているため、燃やしてCO2を排出しても、もともと吸収していた分を戻していると考えることができ、結果的に「CO2を増やさない」=カーボンニュートラルという考え方が適用されています。

地球温暖化の大きな原因のひとつが大気中のCO2の増加であることは広く知られています。産業革命以降、CO2の濃度は急激に上昇しており、現在は過去80万年で最も高い水準に達しています。CO2が増えると地球から熱が逃げにくくなり、世界各地で気温が上昇する地球温暖化現象が進行します。

人類が今後も地球で暮らしていくためには、CO2の排出量を減らすことが不可欠です。その点で、再生可能エネルギーは未来を切り開く重要な手段の一つです。

ビットコインと地球環境

ビットコインのマイニングとは、平均10分ごとに世界中のマイナーたちが一斉に計算競争を始めて、一番早く答えを導き出したマイナーが次のブロックを生成し、報酬としてビットコインを得る仕組みです。

ただしこの仕組みは膨大な計算処理が必要なため、消費電力が非常に大きく、地球環境への影響が懸念されてきました。事実、世界中のマイナーが消費する電力量は、中規模な国家1国分に匹敵するとまで言われています。

そのため、マイニングに使われる電力の質に注目が集まり、改善の動きがみられています。woocharts.comのデータによると、ビットコインマイニングにおける持続可能エネルギーの割合は、2019年は35.1%だったのが、2024年には56.7%に増加。ケンブリッジ大学の調査でも2025年時点で52.4%と報告されており、すでに過半数が再エネに切り替えられています。

また、ビットコインが広く決済通貨として使われるようになれば、従来の複雑な金融インフラの一部が不要になり、社会全体の電力消費が削減される可能性も指摘されています。

環境フレンドリーホールディングスとは

環境フレンドリーホールディングスは、もともとは「ターボリナックス」という社名で、Linux関連の事業を展開していました。しかしLinux市場の縮小により、事業を多角化し、環境・再エネ事業、社会インフラ事業、IT事業の分野にシフトしました。

2024年には社名を環境フレンドリーホールディングスに変更し、「環境にやさしい企業」という方向性を明確にしました。再生可能エネルギーの普及促進やリユースの推進を通じて、持続可能な社会に貢献することを目指しています。

現在の主な事業セグメントは、資源エネルギー事業、リユース事業、環境事業。そして今回、新たにマイニング事業(グリーンコイン・マイニング事業)を加えることを発表しました。

業績を見ると、2006年~2022年までの売上平均は約6.3億円でしたが、2023年にリユース事業を手掛けるDLM株式会社を完全子会社化したことで、連結売上が前年比22倍の約170億円に急増しました。

ただし、利益面では課題も残っており、2024年は赤字となりました。低利益率・固定費・のれん償却などのコストが重しとなっています。現時点では利益構造が安定していないため、PBRは6倍、割高と評価される傾向があります。

とはいえ、リユース・再エネ・マイニングなど、テーマ性のある分野を手掛けていることから、再エネ事業やマイニング事業の実績次第で株価上昇の期待もあります。

日本の再エネ余剰電力マイニング企業たち

環境フレンドリーホールディングス以外にも、再エネ×ビットコインの取り組みをしている企業があります。

  • アジャイルエナジーX:東京電力の100%子会社。2022年頃から太陽光や風力の余剰電力でマイニングを開始しました。
  • 北日本紡績:2025年、再エネを活用した持続可能なマイニングモデル構築を発表しました。

日本では太陽光発電の普及が進んだ結果、昼間の時間帯に電力が余るケースが増えています。特に地方では送電網の制約から、発電した電力が送れず「捨てられている電力」もあります。

通常は蓄電池や揚水発電などで対応しますが、コストや効率に課題があるので、再エネの余剰電力を活用してビットコインをマイニングをし、電力をそのまま「金融資産」に変換するアプローチに注目する企業が出ていると考えられます。

ビットコイン価格への影響は

ビットコインは長らく「エネルギー消費が多すぎる」、「地球環境に悪い」と批判されてきたので、再エネマイニングが進めば、環境負荷の少ない暗号資産として再評価される可能性があります。

実際、2021年にテスラが一度ビットコイン決済を導入したものの、イーロン・マスクCEOが「化石燃料の使用が増加している」として中止。その後、「再エネ使用が50%以上なら再開の可能性がある」と述べたことから、再エネ比率が注目されるようになりました。

再エネ余剰電力でのマイニングが普及すれば、ハッシュレート(ビットコインネットワーク全体の計算力)の上昇によってセキュリティが強化されます。さらに、電力コストがほぼゼロのため、ビットコイン価格が暴落しても事業継続が可能なマイナーが増え、ハッシュレートの安定につながります。

このように、再エネマイニングの普及は、ビットコイン価格に即効性のある影響を与えるわけではありませんが、長期的には信頼性と持続可能性の面で価格を下支えする要因になると考えられます。

環境フレンドリーホールディングスの再エネ余剰電力マイニングの取り組みが、今後どこまで実績として数字に表れるか、今後の展開をチェックします。

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