史上初の仮想通貨の格付け。発表後の値動きと時価総額ランキングをチェック。
2018年1月24日23時、金融機関の格付けを行うWeiss Ratings社(ワイスレーティング社、アメリカ)が史上初となる仮想通貨の格付けを発表しました。Weiss Ratings社は1971年から始まり、今まで5万を超える機関を評価してきた機関です。
何やら韓国からの大規模なサイバー攻撃を受けつつも発表に踏み切ったそうです。また、公開後にアジアから10万人を超えるアクセスがあったようで、かなり注目されていることが伺えます。日本でも「格付け」ツイートが飛び交っていました。
格付けで評価する項目について、Weiss Ratings社は以下のように述べています。
The Weiss Cryptocurrency Ratings evaluate price risk, reward potential, blockchain technology, adoption, security, and other factors.
評価されるのは、各仮想通貨が持っている「price risk(価格リスク)、reward potential(報酬の可能性)、blockchain technology(ブロックチェーン技術)、adoption(採用)、security(セキュリティ)、other factor(その他の要因)」です。
これらを総合的に判断してA~Eの格付けがされます(Aか最も評価が高く、Eが最も評価が低い)。
つまり、価格下落のリスクが低い上で上昇する可能性があり、優れたブロックチェーン技術が使われていて、採用され、セキュリティの高い仮想通貨ほどA評価に近くなります。
格付け結果
記念すべき第一回の格付けで「A」を取得した仮想通貨はありませんでした。仮想通貨はまだまだ成長過程であるということですね。
下表は「B」を取得した仮想通貨です。
格付け | 仮想通貨名 |
---|---|
B | Ethereum |
B | EOS |
B- | NEO |
B- | Cardano(ADA) |
B- | STEEM |
何と、時価総額の断とつトップをひた走るビットコインが「B」の格付けがされませんでした。理由は、セキュリティと普及率が優れているが、ネットワークのボトルネックが発生し、トランザクションコストが高いからだそうです。現在問題視されている送金詰まりと送金手数料の高騰化のことですね。
「B」の格付けを受けた仮想通貨は時価総額上位にいる通貨が多いです。2018年の成長に大きく期待されているEthereumが「B」を付けました。
下表は時価総額上位の仮想通貨の格付け結果です。
時価総額ランク | 仮想通貨名 | 格付け |
---|---|---|
1 | Bitcoin | C+ |
2 | Ethereum | B |
3 | Ripple | C |
4 | Bitcoin Cash | C- |
5 | Cardano(ADA) | B- |
6 | Stellar | C |
7 | Litecoin | C+ |
8 | EOS | B |
9 | NEO | B- |
10 | NEM | C+ |
11 | IOTA | 評価無し |
12 | Dash | C+ |
13 | Monero | C |
14 | TRON | 評価無し |
ファンダメンタル的に強いと言われるRippleが「C」になったのは意外でした。ブロックチェーンが使われていないとか、非中央集権ではないことが評価に影響しているのでしょうかね。
また、IOTA、TRONのが評価無しになったのは、技術的に未発展のため、まだ評価できる段階になってないと判断されたためかも知れません。
発表後の値動き
発表後の値動きを確認します。
下図はアメリカの取引所Poloniexのイーサリアム(ETH)のチャートです。日本との時差は9時間です。
発表直前は約11万6000円でした。発表直後に長い陽線をつけ12時間後には12万1000円まで上昇しています。
発表後は仮想通貨相場全体が緩やかな上がり基調なので、「B」の格付けがイーサリアムの価格に超絶インパクトを与えたとはいえない状況です。しかし、発表直後の出来高が半端ないのをみると、少なからずプラスの効果はあったといえるでしょう。
注目なのは、時価総額トップ10には入っていないけど「B」の格付けを受けた仮想通貨「STEEM」です。STEEMは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をブロックチェーン上に展開するプラットフォームです。
発表直後から出来高が急増し、12時間後には価格が1.5倍になりました。発表前は時価総額ランキングが31位だったので、過小評価されていると判断されて多くの買いが入ったと考えられます。
予想より低い「C」の格付けとなったリップル(XRP)は発表後は価格を下げています。
下表は発表直前と発表の次の日の時価総額ランキングを比較したものです。
「B」を取得したEOSが、NEMを抜いて10位から9位へと順位を上げました。
同じく「B」を取得したSTEEMが31位から24位へと大きく順位を上げました。STEEMは過去に10位以内に入ったこともあるので、今回の格付けをエネルギーにしてこれからもっと伸びてくる可能性があります。
出典「Cryptocurrency Market Capitalizations」
まとめ
史上初となる仮想通貨の格付けは「A」を取得したものはいなかったものの、時価総額トップ10にいる仮想通貨を中心にEthereum、EOSが「B」、NEO、Cardano(ADA)、STEEMが「B-」を取得しました。
高評価を受けた仮想通貨は発表直後に出来高が増えて長い陽線をつけています。特に、発表前は時価総額31位だったSTEEMは意外性からか前日比50%アップの高騰をとげ、時価総額24位に上昇しています(2018年1月25日現在)。
仮想通貨の格付けが今後さらに注目を集めるようになることを考えると、予想外の格付けとなった仮想通貨をいち早く見つける素早さが、投資したい仮想通貨を安く購入するために重要になりそうです。