2024年12月、日本の上場企業GFAが「ビットコインを中心とした暗号資産に投資を行う、ディーリング事業を開始する」と発表したことを覚えていますか?当時、このニュースはちょっとした話題になり、GFAの株価はわずか3週間で最大3.4倍に爆上げしました。
その投資内容も話題性バツグンで、世界のトップトレーダー「traderZ」氏を起用し、ビットコインのレバレッジ取引や、マルハンのイメージキャラクターをモチーフにした「にゃんまるコイン」をはじめとしたアルトコインへの積極投資を行うというものでした。暗号資産に興味がある投資家にとっては、興味がわきそうな話だったわけです。
しかし、2025年に入るとGFA株はじわじわと下落基調に転じ、投資家の期待も少しずつ冷め始めていました。そんな中、5月にインパクトのあるIRが発表されました。
HOYA創業家出身・山中徹氏の就任発表
2025年5月16日、GFAは新たなプレスリリースを発表。なんと、日本を代表する光学機器メーカー「HOYA」の創業家出身である山中徹氏が、GFAの最高顧問に就任したというのです。

HOYAといえば、1941年創業の老舗光学メーカー。現在では医療機器からIT分野まで幅広く展開し、2025年3月期の売上は8,660億円、従業員数は約3万8,000人という巨大企業です。
現在、山中氏が代表取締役会長を務めているケンコー・トキナーも、1957年創業の老舗メーカーで、光学機器の分野では知る人ぞ知る有名企業です。このように、山中氏は長年にわたり光学業界での経営経験を積んできた人物として知られています。
そのHOYA創業家の人物がGFAの最高顧問に就任することが投資家のあいだで話題になり、GFAはさらに山中氏に関するIRラッシュを仕掛けます。
5月22日:山中氏を現役職の最高顧問から代表取締役会長に昇格することを発表

5月23日:娘の山中明子氏を次期役員候補にし、協業することを発表

5月30日:株主総会の取締役候補10名の中に山中氏の名前を記載

こうした一連の発表により、山中徹氏はGFAに確実にやってくると投資家は思い、活躍に期待していました。
山中徹氏が就任を否定
しかし、2025年6月23日、驚くべき声明が発表されました。発表したのは他ならぬ山中徹氏本人です。

山中徹がGFA社のいかなる役職にも就任した事実はなく、今後も就任する予定は一切ありません。これらの書面は、山中徹が一切関与しないまま作成・公表されたものであり、その内容には事実と異なる記載が多数含まれ、本来記載すべき事項が欠落しております。
山中徹は、事実と異なる発表について、GFA社に対し、事実に基づかない情報の削除及び訂正を繰り返し求めてまいりましたが、GFA社からは現在に至るまでご対応をいただけておりません。
株式会社ケンコー・トキナー
え。。
え!
一切関与していないってなんでやねん
つまり、GFAの一連の発表はすべて虚偽だというのです。しかも山中氏は、GFAに対してIRの削除や訂正を繰り返し求めたものの、未だに対応されていないと言っています。
これは一体、どういうことなのか?
上場企業が虚偽の情報を発信して会社の信用を維持したり、株価を不当に吊り上げようとした場合、それは金融商品取引法違反にあたります。場合によっては詐欺罪に問われる可能性すらある重大な問題です。
しかし、すぐにバレるような嘘を、上場企業が公式IRで発表するでしょうか?あまりにリスクが高すぎます。
この不可解な状況から導き出される合理的な推測は、次のようなものです。
GFAは山中徹氏に対して、経営支援や顧問就任を正式に打診しており、山中氏も当初は前向きに検討していたのではないか?(これはアンゴロウ推測)
GFA側は山中氏の前向きな態度に「内諾された」と受け取り、時期尚早にIRを出した。しかしその後、山中氏がGFAの経営状況や内部体制に不安を感じ、または問題点を見つけ関与を取りやめることを決めGFAに連絡したが、GFAはIRを削除せず放置しているのであれば辻褄が合います。
仮にこの推測が正しければ、GFA側の説明責任は非常に重いものとなります。
不気味な発表で株価暴落
山中徹氏の発表を受けて、GFAの株価は1日で最大-25.3%も暴落し、ついにはビットコイン投資を発表した日の株価に逆戻りしました。

今回の件で市場の信頼を大きく損ねたことは明らかで、今後のIR対応次第では、さらなる下落や上場維持審査の対象になる可能性もあります。
GFAの時価総額は76億円まで減少し、時価総額1兆円計画の目標実現が遠のくとともに、史上最安値更新も射程圏内です。
なんとも不気味な嘘IR発表と暴落劇
投資判断はGFAの反論を聞いてからにした方が良さそうです。
コメント
コメント一覧 (2件)
初めまして。突然のご連絡失礼します。問い合わせフォームやXのDMが解放されていなかったのでこちらから失礼します。案件をお願いしたいのですが、ご相談可能でしょうか?
初めまして。ご連絡ありがとうございます。
せっかくのご連絡ではございますが、現在、案件のご相談はお受けしておりません。
何卒よろしくお願いいたします。