bitFlyer Lightning 一目均衡表の使い方

2018年1月23日

本記事ではbitFlyer Lightningで使える一目均衡表(いちもくきんこうひょう)について説明します。

一目均衡表とは、過去の値動きは未来の値動きに影響を与えるという考え方のもと、未来の値動きを予測するのに使うテクニカル指標です。

一目均衡表は昭和初期に生まれたテクニカルチャートで、編み出したのは何と日本人です。今も変わらず使っている人が多いのが実力の高さを感じさせてくれます。

名前は一目均衡さんかと思いきや、一目山人さん(ハンドルネーム)です。均衡とはバランスのような意味合いなので、「一目さんのバランス表」とか、「一目(ひとめ)でわかるバランス表」といったところです。

一目均衡表は他のテクニカル指標よりも線が多いです。具体的には、下図のように基準線、転換線、遅行スパン、先行スパン1、先行スパン2の5つの線からなります。

一目均衡表の5本の線

 

5本もあったら混乱して分けが分からなーよ

いきなりこんなに沢山の線を見ただけで一目均衡表を使うのをやめたくなりますね。何にせよ、まずはbitFlyer Lightningで一目均衡表を表示してみましょう。

下図赤枠にマウスポインタを合わせると、下にオーバーレイの設定項目が表示されます。一目均衡表にチェックを入れると表示され、チェックを外すと非表示になります。

一目均衡表の右にある4つの入力欄は、左から「転換線の集計対象本数」、「基準線の集計対象本数」、「先行スパン2の集計対象本数」、「先行スパン、遅行スパンをずらす本数」の設定です。このページを最後まで読むと何の設定値なのか分かると思います。たぶん。

bitFlyer Lightning オーバーレイ

 

下図は一目均衡表を表示した結果です。始めて見た人はなんじゃこりゃですね。

一目均衡表

 

1本ずつどのように作られている線なのかを確認していきましょう。

まずは基準線とは、過去26本ぶんのローソク足の中の最高値と最安値を足して2で割った値の線です。つまり、長期的な視点で最高値と最安値の中間値を求めるということです。

例えば、下図基準線上の白丸の価格を求めてみましょう。白丸のローソク足を含めた過去26本のローソク足の最高値は541500、最安値は538126なので、(541500 + 538126) ÷ 2 = 539813 が白丸の価格になります。

26本は比較的期間が長いので、レンジ相場では下図のように水平直線が続くことが多いです。

基準線

 

転換線とは、過去9本ぶんのローソク足の中の最高値と最安値を足して2で割った値の線です。つまり、短期的な視点で最高値と最安値の中間値を求めるということです。

例えば、下図の転換線上の白丸の価格を求めてみましょう。白丸のローソク足を含めた過去9本のローソク足の最高値は540909、最安値は538126なので、(540909 + 538126) ÷ 2 = 539517 が白丸の価格になります。

想像すると分かるように、転換線は基準線よりも水平が短期的になりやすいです。

一目均衡表 転換線

 

転換線には「転換」という単語が入っていますが、その線自身が転換を表現しているのではなく、基準線と組み合わせて上昇トレンドへの転換、下降トレンドへの転換を把握するのに使われます。例えば、下図白矢印の場所で転換線が基準線を下から上に突き抜けています。これが上昇トレンド入りへの期待です。まさにゴールデンクロスですね。

逆に、転換線が基準線を上から下に突き抜けたときは下降トレンドに転換しはじめたことが期待できます。

基準線と転換線がクロス

 

転換線が基準線を突き抜けたという状況がどういう状況なのかをもう少し詳しく説明します。

基準線に使われる過去26本のローソク足の中には転換線で使われる過去9本のローソク足が含まれているので、ある時点での基準線の計算で使われる最高値より転換線の最高値のほうが高くなったり、基準線の最安値より転換線の最安値のほうが安くなったりすることはありません。

転換線が基準線を下から突き破った状況

 

つまり基準線の最高値から最安値のあいだに、転換線の最高値、最安値があるということです。なので、下図のように、最安値が上がって中間値が押し上がると基準線の上に転換線がいき、最高値が押し下がると、基準線の下に転換線がいくことになります。

何だかややこしいですが、基準線より転換線が上にきたときは最高値の更新だけではなく、最安値が上がって最高値と最安値の値幅が狭くなって中間値を押し上げた状況であることを覚えておきましょう。

最高値と最安値の中間値

 

私が個人的に思ったことですが、基準線、転換線は期間中の最高値、最安値のみ着目していて、期間中の価格の動き方をまったく考慮していないのが気になります。なので、移動平均線より基準線、転換線のほうが使い勝手がいいといえるのか疑問です。また、基準線、転換線を移動平均線に置き換える使い方はできないのか。これについては今後じっくりと研究していこうと思います。

 

次に遅行スパンについて説明します。遅行スパンとは、終値を結んだ線をローソク足26本ぶん左にずらした線です。

遅行スパンを見ることで、26本前に買った人が現在含み益、含み損どちらの状況にあるのが分かります。下図の例では現在価格から26本前のローソク足で、遅行スパンがローソク足より大幅に上にあります。すなわち、26本前に買った人は現在は大きな含み益があることが分かります。

含み益がある人はさらなる上昇を期待して保有を継続するので、この状況では買いが優勢になります。逆に、26本前のローソク足より遅行スパンが下にあるときは、26本前に買った人は含み損を抱えていることが分かります。この場合は売りが優勢になります。

遅行スパン

 

先行スパン1とは、基準線と転換線の中間値の推移グラフをローソク足26本ぶん右にずらした線です。

基準線、転換線も中間値をもとにしたグラフなのに、その2つの中間値って分けが分からないですね。中間値と中間値の中間値ってことです。。言いかえると、転換線と基準線のちょうど真ん中の線を26本ぶん右にずらします。

例えば、下図A地点の転換線の価格は540346、基準線の価格は538932、この2つの中間値は(540346 + 538932) ÷ 2 = 539640。これを右に26本ずらします。

先行スパン1

 

先行スパン2とは、過去52本ぶんのローソク足の中の最高値と最安値を足して2で割った値の線です。つまり、基準線よりもっと長期的な視点で最高値と最安値の中間値を求めるということです。

例えば、下図A地点より過去52本ぶんの最高値は542000、最安値は538126なので、中間値は(542000 + 538126) ÷ 2 = 540063。これを右に26本ぶんずらします。

先行スパン2

 

下図のように、チャートでは先行スパン1と2で囲まれた箇所を塗りつぶし、塗りつぶした箇所を「雲」と呼びます。

雲は最新のローソク足より右側にも描かれているので、まるで未来の価格を表現しているように見えますが、これは未来の価格予想ではなく、過去のローソク足26本と56本ぶんの最高値と最安値の中間値の推移を未来の場所に移動しただけのものです。

なぜそのようなことをするのかを簡単にいうと、過去の動きは未来の動きに影響を与えることが経験上わかっているので、過去の動きを未来の場所に表示して、売買タイミングの参考にしようとするためです。

例えば、あなたは昨日の夜は何時に寝ましたか?もし23時なら今日も23時ころ寝る可能性が高い。ということです。

一目均衡表 雲

 

例えば、下図のように価格が下落しそうになったときに、まるで雲が壁のようになって価格の下落をせき止める動きを見せるときがあります。「過去26本の最高値と最安値の中間値はここだから下がるとしたらこのくらいまで」のように過去の影響をもとに現在の値動きを予想するのに役立ってくれています。

一目均衡表 雲

 

基準線と転換線と同じように、先行スパン1と2の位置関係も重要な意味を持っています。

基準線(過去26本)と転換線(過去9本)では転換線が基準線より上にある状態が強い相場でした。つまり、短期的な線が長期的な線より上にあるということです。

先行スパンも同じ考えです。先行スパン1は過去26本ぶん、先行スパン2は過去52本ぶんなので、先行スパン1が先行スパン2より上にあったほうが相場が強いと考えられます。bitFlyer Lightningの初期状態では、先行スパン1が上にあるときは緑色、下にあるときは赤色に塗りつぶされています。

雲を下から上に突き抜けたときは相場が強くて勢いよく上がっていくことが多いです。逆に、上から下に突き抜けたときは勢いよく下げ始めることが多いです。

一目均衡表の雲を突き抜けた

 

一目均衡表は日本人にも古くから使われてきたテクニカル指標なので、5本の線を組み合わせた色んな戦略があります。それについてはまた今度の機会に説明しようと思います。

下表は一目均衡表で使われる5本の線のまとめです。沢山の線がありますが、ほとんど最安値と最高値の中間値を表す線なので、作り方はそれほど難しくないことが分かります。

ぜひ、この5本の線をどのように使いこなせるか想像を膨らませて一目均衡表使いになりましょう。

名前説明
基準線過去26本のローソク足の最高値と最安値の中間値を表す線
転換線過去9本のローソク足の最高値と最安値の中間値を表す線
遅延スパン終値を結んだ線を26本左にずらした線
先行スパン1基準線と転換線の中間値を表す線を右に26本ずらした線
先行スパン2過去52本のローソク足の最高値と最安値の中間値を表す線を右に26本ずらした線