bitFlyer Lightning ケルトナーチャネルの見方
本記事ではbitFlyer Lightningで使えるケルトナーチャネルについて説明します。
ケルトナーチャネルとは、指数平滑移動平均線の上下に変動幅の補助線を引いたテクニカル指標です。補助線に近づいたときや、補助線を突き抜けたときが売買を考えるタイミングになります。
ちなみに、ケルトナーとは、この指標を考案した人物の名前です。チャネルとは「水路」や「運河」という意味です。ケルトナーチャネルの3つの線についてbitFlyer Lightningの説明ページには以下のように記載されています。
Middle Line: 20-day exponential moving average
Upper Channel Line: 20-day EMA + (2 x ATR(10))
Lower Channel Line: 20-day EMA – (2 x ATR(10))引用元: StockCharts「Keltner Channels」
つまり、真ん中の線はローソク足20本ぶんの指数平滑移動平均線。上の線は指数平滑移動平均線の座標にATRを加算した線で、逆に減算した線が下の線です。
ちなみに、ケルトナーチャネルは安値、高値、終値の平均の指数平滑移動平均線というのを昔聞いたことがありますが、bitFlyer Lightningはいつも使っている、終値の指数平滑移動平均線が使われています。
指数平滑移動平均線とは何かについては次の記事を読んで下さい。
⇒「指数平滑移動平均線とは」
ATRは「アベレージ・トゥルー・レンジ」の略で、直訳すると「真の変動幅の平均」です。
変動幅とは、期間中の価格の最大値から最小値を引いた幅のことです。そう聞くと、下図のようにローソク足の高値と安値の差をイメージします。
上図は確かに変動幅ですが、下図のように前回の終値も考慮して変動幅を決めたものをトゥルーレンジ(真の変動幅)といいます。考えると、売買は連続して行われているので、前回終値と今回始値のあいだに発生する幅も考慮に入れたほうが自然ですよね。
何だかややこしいですが、つまり、今回ローソク足の「高値」、「安値」、前回ローソク足の「終値」の3つのそれぞれの価格差が最も大きいものを変動幅に採用するということです。
では、bitFlyer Lightningのケルトナーチャネルを表示してみましょう。下図赤枠にマウスポインタを合わせると下にオーバーレイの設定項目が表示されます。ケルトナーチャネルにチェックを入れると表示され、チェックを外すと非表示になります。
ケルトナーチャネルの隣りにある2つの入力欄の左側は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)の集計対象期間です。例えば「14」の設定では、過去14本のローソク足の真の変動幅の平均から補助線が作られます。
右側の入力欄はATRの係数です。数字が大きいほど平均線と補助線とのあいだの距離が広くなります。Fillは補助線に囲まれている領域を塗りつぶすかどうかの設定です。
下図はケルトナーチャネルの設定を「14」、「2」、「Fillにチェック」にして表示させた結果です。真ん中に移動平均線があり、それを挟むような補助線。。この形、ボリンジャーバンドによく似ていますね。⇒「ボリンジャーバンドとは」
ちなみに、真ん中の指数平滑移動平均線の集計範囲は「20」に固定されています。ケルトナーチャネルの設定値は上下の補助線に関するものなので、設定値を変えても真ん中の線は変わりません。
下図は、チャートの表示位置はそのままでケルトナーチャネルの設定を「1」、「3」に変更したものです。補助線の形状は変わりましたが、真ん中の点線は何も変わっていないことが分かります。
次に、上下の補助線が想定どおりに引かれているのかを確かめてみましょう。
指数平滑移動平均線の引き方は移動平均線の記事で説明しているので、本記事では真の変動幅が前回の終値を対象にしているのかを確かめるだけにします。
下図はケルトナーチャネルの設定値を「1」、「1」にしたグラフです。「1」にした理由は、平均をとらずに検証するためです。
①のチャート足に着目します。高値は512090、安値は511212、前回終値は511138です。前回終値が今回安値の下にあるので、真の変動幅は512090 – 511138 = 952になります。
ケルトナーチャネルの設定値を「1」、「1」にしているので、上下の線の座標を求める式は以下になります。
Upper Channel Line: 20-day EMA + ATR
Lower Channel Line: 20-day EMA – ATR
つまり、①の指数平滑移動平均線の座標に、先ほど求めた変動幅(952円)を可算した値と、減算した値が上下の線の座標と一致すれば、真の変動幅が使われていることが明らかになります。結果は下図のようになり、真の変動幅が使われていることが明らかとなりました。
数字が若干違うのは、移動平均線上の座標は正確な数値がわからないので、マウスポインタを乗せて表示された数値を採用しているためです。
1つ思うのは前回の終値は、今回の高値~安値のあいだに収まることがほとんどなので、真の変動幅、真じゃない変動幅どっちを使っても結果はあまり変わらないと思います。真の変動幅を使う意味があるのか疑問です。
移動平均線の上下の線は価格変動の幅の平均を表現しているので、この幅の中で価格がウロウロすると予想できます。なので、なだらかな上昇トレンドのときに、この幅を上に超えたら買いが強くなってさらに上昇していくことが期待できます。ここが買いのポイントです。
逆に、なだらかな下降トレンドでケルトナーチャネルの下を突き抜けたときは、売りの力が強くなってきているのでさらに下がっていくことが期待できます。ここが売りのポイントです。
方向感の定まらないレンジ相場では、下の線に近づいたら買い、上の線に近づいたら売りを繰り返します。