オオカミコインのカード発行会社を特定。爆上げる可能性を検証しました

2025年5月5日

アンゴロウ

この記事は、5月3日に公開した「オオカミコインの詐欺の可能性を調査する記事」の追加調査となります。

前回の記事を読んでいない方は、先にそちらを読んでいただいた方が、今回の内容がより分かりやすくなると思います。

前回の記事では、「オオカミカードを使ってセブンイレブンのATMから現金を引き出す動画」に関して、ドル円の為替レートが想定よりも低く表示されていたため、「この動画はカードの現物が出回っているように見せかけるために、過去の動画を転用した可能性があります。」と述べました。

その後、動画の投稿者本人から4月24日に撮影したもので間違いないとの指摘が届き、再撮影された動画とカードの裏面画像を見せてもらうことができたので、追加調査を行いました。

いきいきくん、ご協力ありがとうございます。

ATMに表示された為替レートが想定よりも低く見えた理由の種明かしは、ドルを円に替えるときに為替レートを変更して手数料を徴収する場合、ドル円のレートは円高方向に動くことになるからです。

具体的に、4月24日にATM画面に表示されたレートは「1 USD = 134.0787円(4.0%の手数料込み)」で、手数料を除くと「1 USD = 約139円」

その日の実勢レートは「1 USD = 約142円」だったため、3円の差がカード発行会社のスプレッドと考えれば辻褄が合います。

また、再撮影日(5月4日)のATMレートは「1 USD = 138.4598円(4.0%手数料込み)」で、手数料を除くと「約144.2円」

当日のドル円レートが144.9円だったことから、こちらも妥当な範囲といえるでしょう。

カード発行会社を特定

まず、日本で合法的に発行されるクレジットカードの裏面には必ず発行会社名、問い合わせ先などが明記されています。

しかし、オオカミカードの裏面には 発行会社名や連絡先が一切記載されていないため、このカードは日本国内で合法的に発行されたカードではないことが分かります。

次に、カード番号の先頭6文字のBINコード「493675」をもとに発行元を特定したところ、「Utgl Finance Limited(以下、UTGL社)」であることが分かりました。

UTGL社は香港に拠点を置く金融サービス会社で、2021年に自社プラットフォームを立ち上げ、暗号資産の管理やクレジットカードの提供などもしています。

代表者(CEO)は公式サイト上で顔出しをしていません。

UTGL社は、公式サイトで以下のライセンスを保有していると公表しています。

MSB登録番号: 31000229288330
TCSP登録番号: TC007054
MPI登録番号: PS20200468
MLO登録番号: 2084/2022
CEZA’S FinTech Services and Virtual Currency Exchange (OFTSVCE)

Utgl Finance Limited公式サイト

このうち、信託・会社サービス提供事業者(TCSP)および貸金業ライセンス(MLO)については実際に登録されていることを確認できました。

一方、上記には含まれていないSVFライセンス(Stored Value Facilities)は保有していないことも確認しています。 SVFライセンスは、プリペイドカードや電子マネーなど「チャージして使う」形式のサービスを提供する際に必要とされるライセンスです。

UTGL社は「カード提携プログラム(UTGL’s Card Co-Brand Program)」というサービスを提供しており、これは企業がUTGL社と提携して独自デザインのクレジットカードを発行できるサービスです。

企業はカードデザインを自由にカスタマイズでき、カードの利用手数料やATM利用料などが収益になる仕組みです。 おそらくオオカミプロジェクトは、この「カード提携プログラム」に申し込んでオオカミカードを発行したものと推察されます。

UTGL’s Card Co-Brand Program

このことから、オオカミカードは完全に架空の詐欺的なカードや偽造カードというわけではなく、実在するカードとして、今後出資者のもとに届けられる可能性はまだ残されているといえるでしょう。

オオカミコインが爆上げる可能性を検証

ここからは、もしオオカミカードが本物だった場合、オオカミコインは爆上げするのかを考察します。

オオカミカードの最大の懸念点は、発行元であるUTGL社が日本国内で登録されたカード発行会社ではないということです。

そのため、仮にUTGL社が経営破綻した場合、日本の法律で利用者の資産を保護する仕組みが適用されず、オオカミウォレットに預けた暗号資産も出金不能に陥るリスクがあります。

オオカミコインが爆上げるには、このようなリスクを承知の上で、それでもオオカミカードを使いたいと思うユーザーが増え、利用の活性化によってコインの買い圧力が高まるかどうかが極めて重要な要素といえます。

オオカミカードによる決済時には、以下の手数料が想定されます。

  • 決済手数料
  • 外貨両替手数料
  • 動物保護団体への寄付分
  • スプレッド

これらを総合すると、通常のクレジットカードよりもコスト面で不利になる可能性が高いと考えられます。

そこで、オオカミカードを使ってカード決済をした場合、実際にどれくらい手数料が引かれるのかを計算してみました。

オオカミカードはカード利用時に決済金額+各種手数料が即時引き落とされ、後日、動物保護団体への寄付分(オオカミコイン)が引き落とされる仕様になっていることが分かりました。

決済日のドル円為替レートを基準に、手数料率を算出したところ、総額で約11%の手数料がかかっていることが確認できました。

日本国内で発行されている通常のクレジットカード(一括払い)の手数料は「0%」です。

オオカミカードは11%

誰が使うん?🤔

このように、オオカミカードのコストは日本のカードと比較して非常に高く、不利であることが分かります。

こうしたリスク面とコスト面を総合的に判断すると、現在の仕様のままでは、オオカミカードを使いたいと思うユーザーが増えることはないでしょう。

よって、オオカミコインの価格予想は、爆上げしないという結論になりました。

なお、この予想は筆者個人の見解であり、今後のマーケットメイクやカード仕様変更などで価格が上がる可能性はゼロではありません。

投資を検討している方は、話を鵜呑みにせず、ご自身で十分に情報を調べたうえで判断することを強くおすすめします。

くれぐれも、感情や期待感だけで資金を投入しないよう、ご注意ください。

(追記)カード発行会社について訂正

クレジットカードの発行会社を上6桁「493875」の発行者識別番号で調査しましたが、上8桁「49387546」で調査し直したところ、Reap Technologies Limitedという発行会社でした。

この暗号資産の結末については、今後の記事で改めて報告します。