MENU

日本企業クオンタムソリューションズがビットコイン保有量世界5位を予告。買う買う詐欺?

2025年7月23日、日本の上場企業クオンタムソリューションズが「暗号資産投資事業」の開始を発表しました。なんと、今後12ヶ月間で3000BTC(約538.5億円)のビットコインを保有し、2026年までに保有量で世界の企業トップ5入りを目指すと明言したのです。

クオンタムソリューションズの暗号資産投資事業開始のお知らせ本文

これは、日本企業としてはメタプラネットに続く大規模な暗号資産戦略です。

現時点でのビットコイン保有枚数ランキングで世界企業5位は、ライオット・プラットフォームズの1万9225枚。メタプラネットは1万6352枚で世界7位。そこに割って入る存在として、クオンタムソリューションズが自ら名乗り出ました。

世界の上場企業ビットコイン保有枚数ランキングトップ10(2025年7月24日時点)

ビットコイン購入計画発表前の7月22日から23日にかけて同社の株価は大きく上昇し、23日16時30分に発表されたあと、PTS市場で寄り付きストップ高をつけました。しかしその直後に急落し、前日比マイナスで終了。翌営業日の24日には、2日分の上昇を打ち消すように下落しました。

そこでこの記事では、クオンタムソリューションズ株が上昇しなかった原因を分析し、株は今が買いなのかを予想します。

クオンタムソリューションズ株の2025年の日足チャート
目次

クオンタムソリューションズとは

クオンタムソリューションズは1999年に有限会社ザイオンとして設立されたインターネットコンサルティング会社です。設立後、社名と事業内容は何度も変更されています。

  • 1999年 有限会社ザイオン
  • 2000年 株式会社ザイオン
  • 2007年 セブンシーズ・テックワークス株式会社
  • 2012年 株式会社ファステップス
  • 2018年 株式会社ビットワングループ
  • 2021年 クオンタムソリューションズ株式会社

暗号資産事業開始で爆上げ

クオンタムソリューションズは、2017年に暗号資産事業への参入を発表し、日本国内を含め仮想通貨取引所を立ち上げる計画をスタートしました。

2018年に海外の暗号資産取引所「ビットワン香港」をオープン。マイニング事業も開始して、株価は2017年から2018年にかけて最大で約7.9倍まで上昇しました。

しかし、2018年の仮想通貨バブル崩壊によって取引量は激減。マイニング事業も赤字続きで、マシンを売却して撤退。2020年には取引所も実質的に消滅しました。こうしてクオンタムソリューションズは投資家からの信頼を大きく損ないました。

2017年のクオンタムソリューションズ株の日足チャート

ちなみに、ビットワン香港の取引所は閉鎖していますが、公式Facebookアカウントはまだ残っていて、2020年2月にトレーディングコンテスト(高額賞金)を告知したのを最後に投稿が止まっています。

Bit One Hong Kongの公式Facebookアカウント

AI事業開始で再び爆上げ

2023年9月、クオンタムソリューションズはAI関連事業への進出を発表しました。AI向けの高性能GPUサーバーの大口受注という発表を材料に、株価はスルスル上がっていき、3ヶ月で4倍になりました。しかし、2023年12月の四季報にて売上予測が下方修正されると、株価は一転して暴落。

暴落のあと、投資インフルエンサーの関与と、チャートの不自然な形状が疑問視され「クオンタムソリューションズは仕手株」と揶揄されるようになりました。

2023年のクオンタムソリューションズ株の日足チャート

ビットコインの購入方法

今回のビットコイン購入にあたっては、香港拠点のファンド「Integrated Asset Management (Asia) Limited」(以降、IAM)が投資をすると発表しています。IAMは、2014年にフォーブス誌の買収を主導した企業としても知られています。

おそらく、クオンタムソリューションズは第三者割当増資によってIAMから資金を調達し、ビットコインを購入する計画と見られ、これはマイクロストラテジーやメタプラネットと同様の手法といえます。

暗号資産投資事業で再び爆上げするか?

下図はクオンタムソリューションズの年間売上です。

2006年から2024年までのクオンタムソリューションズの総売上

下図は純利益です。

最近の売上高は年間2億円台と小規模で、8年連続の赤字、今年も赤字になる見通しです。2023年のAI事業で10億円を超える大口受注を何度も発表したにもかかわらず、2023年と2024年の売上高はともに2億円台となっており、AI事業もまだ実績に乏しく、業績に結びついていない様子が伺えます。

ちなみに、売上高は2億円台ですが、時価総額は200億円もあります

520億円(3000BTC相当)もの出資となると、厳格なデューデリジェンス(財務・事業の調査)を実施すると考えられますが、このような状況で、IAMは本当に520億円を投資する気があるのか? 常識的には極めて疑問が残ります。

仮に、クオンタムソリューションズが出資を受けて3000BTCを獲得したとしても、世界5位に入るにはさらに1万7000枚以上の追加購入が必要です。現在のクオンタムソリューションズの信用状況で、株の希薄化と増資の繰り返しに株価が耐えられるのか見極めが必要です。

最近の市場環境は、メタプラネットが7月もビットコインをたくさん買い増し、ビットコインの価格は上昇したにも関わらず、株価は反応しませんでした。このことから、「ビットコイン買います」ファンダに対する市場の反応が変化が生じている可能性があります。

以上から、クオンタムソリューションズの発表は「話題作り」の色合いが強いと判断し、クオンタム株はまだ買いではないと判断しました。

今後の注目ポイント

  • IAMによる出資は本当に実行されるのか?
  • クオンタムソリューションズは本当にビットコインを購入するのか?
  • 株価上昇が業績と連動する形で持続できるのか?

過去の同社の動きを踏まえると、今回の発表は「話題作り」の色合いが強いとも取れるので、実際のビットコイン購入の進捗をしっかり確認することが重要になりそうです。

とりあえず、ビットコイン2万枚買う買う詐欺ではないことを祈ります。

メタプラネットやマイクロストラテジーのビットコイン購入後の株価の反応の変化も注目していこうと思います。

記事をシェアするときに使うボタンです
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次