高市首相の公認団体が紹介したことで注目を集めている仮想通貨SANAE TOKEN(サナエトークン)
「Japan is Back:日本の未来を共創するコミュニティトークン」という壮大なテーマを掲げるプロジェクトです。
プロジェクトはすでに高市首相サイドとコミュニケーションをとっており、ユーザーの声を高市首相に届けるシステムを構築すると宣言しましたが、高市首相本人が関与を完全否定するという、奇妙な構図が生まれています。
本記事では、サナエトークンの発行主体の過去の経緯、トークン設計や資金の使途、法規制上の論点を整理し、1000倍の可能性があるのか、それとも重大なリスクが潜んでいるのかを検証します。
YouTube動画でも解説しています。動画で全体像を把握したい方はご覧下さい。
サナエトークンの発行者
サナエトークンの発行者は「NoBorder DAO」という日本のコミュニティです。
NoBorderの誕生からサナエトークンの発行までの経緯を整理します。
2018年、エンジェリウムという日本の暗号資産プロジェクトが発足しました。
エンジェリウムは、アダルト(エロ)とブロックチェーンを融合させた次世代のメタバースを開発するプロジェクトです。

具体的には、ユーザーがAI搭載の超リアルなアバターと仮想空間でいちゃいちゃするメタバースです。
人気セクシー女優がアバターのモデルとなり、ユーザーは自分好みにアバターを編集して、理想の容姿と性格を持った恋人とバーチャルリアリティーの世界でいちゃいちゃできるようになると言っていました。
エンジェリウムは独自トークン「ANL」のトークンセールを実施し、映画『マトリックス』のCG担当が参加しているとの発表などで注目を集めました。
代表は久保武士氏(通称Rio)。音楽やファッション分野で活動した後、暗号資産分野へ参入しました。
エンジェリウムは、マレーシア政府との提携を発表、情報商材販売者の泉忠司氏を広告塔に起用、月利12%という超高配当ウォレットを公開して話題となりましたが、やがて出金できない問題が報告されるようになり、プロジェクトに不穏な空気が流れ始めました。
そして、いつの間にかRio氏は何の挨拶もなくエンジェリウムから姿を消し、運営はサービスを終了、エンジェリウムは事実上廃止となり、投資家は出金できないコインを眺めるだけになりました。
その後、Rio氏はドバイで「NoBorder.z」という会社を設立し、「XANA(ザナ)」という新たなメタバースプロジェクトを開始。XANA用のユーティリティトークン「XETA(ゼータ)」のトークンセールを実施しました。
XANAは独自ブロックチェーンを持ち、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)対応、モバイルログイン機能を備えるなど、他のメタバースプロジェクトよりも優れている点を売りにしています。

XANAの不気味な点はエンジェリウム投資家を無視した点です。
エンジェリウムのメタバースをやめて新しいメタバースを始めるなら、新しいメタバースのトークンをエンジェリウム投資家に無料配布するくらいしそうなものですが、何もしませんでした。
2022年、XANA代表のRio氏は溝口勇児という人物と出会い、二人は意気投合、Rio氏は溝口氏をXANA JAPANのCEOに抜擢します。
しかし、XANAの人気は伸び悩み、XETA価格は暴落したままの状況が続いています。

2025年、溝口氏は「ジハードトークン」というミームトークンプロジェクトを発足しました。
ジハードトークンの特徴は、No Road map、No Utilityで、詳細な活動計画をあえて約束せずに活動することを売りにしています。
ジハードトークンの価格は2025年11月の価格から-66%

同じ2025年、NoBorderという日本の会社が設立され、溝口氏が代表取締役に就任しました。
そして、NoBorderが運営する番組からNoBorder DAOというコミュニティが生まれ、NoBorder DAOがサナエトークンを発行したという流れです。
ちなみに現在、Rio氏はアフリカにいて、日本人向けにAI代理店の参加者募集をしています。
サナエトークンとは
サナエトークンのプロジェクト名はJapan is Back
Japan is Backは民主主義をアップデートすることを目的とするプロジェクトで、ユーザーは社会や政治に関する意見をアプリに投稿し、その声が国民の声として高市首相はじめ政策立案者に届くシステムを開発します。
ユーザーは投稿や活動などの貢献に応じてサナエトークンの報酬を受け取り、保有者は将来のガバナンス(意思決定)に参加できる設計とされています。
つまり、サナエトークンは「参加型・報酬型コミュニティトークン」のモデルです。

サナエトークンの凄いところは、高市首相の公認団体がサナエトークンを紹介したことです。

上記団体「【公認】チームサナエが日本を変える」を運営しているVeanas合同会社は、高市早苗公式グッズを販売していて、事業者の所在地が高市早苗事務所の住所「奈良県大和郡山市筒井町940-1」と一致するので信用力はバツグンです。

溝口氏も、高市首相側とコミュニケーションを取っていると発言しています。
中心人物は藤井聡
なぜか、サナエトークンの中心人物は藤井聡という設定になっています。
藤井氏は京都大学大学院の教授で、2012年から2018年まで安倍政権で内閣官房参与を務めた人物です。テレビ番組や新聞、雑誌などで政治・経済問題について積極的に発言する言論人として知られています。
NoBorderの番組では、藤井氏自身がサナエトークンの発行を溝口氏に提案したと説明しています。また、トークン発行チームもスピード感を持って動いてくれたことに対して感謝の言葉も述べています。
トークン配分
公開されているトークン配分は以下の通りです。
・エコシステム:65%
・コミュニティ:20%
・流動性供給:10%
・チーム:5%
コミュニティは報酬用、リクイディティは分散型取引所の流動性供給用と説明されています。

注目すべきは、エコスステム65%の扱いです。
公式説明では、運営が市場で売却し、番組制作費やコミュニティ運営費に利用するとしています。
NoBorderはYouTubeコンテンツに広告を設けず、アプリについても完全無料で提供しており、その収益構造はWikipediaのように寄附から成り立っています。今後もユーザーに素晴らしいサービスを提供すべく、寄附以外の原資としてリザーブ分のアロケーションからオペレーションに充て、マーケットに大きな悪影響が出ないように少しずつ売却し、番組制作費やコミュニティ運営費に利用します。また、マーケティングやJapan is Backを推進するためのその他施策にも利用される予定です。
つまり、プロジェクト運営資金はトークン売却によって賄われる設計になっています。
これは事実上の「運営による売り浴びせ宣言」です。さらに、暗号資産交換業の免許を持たない法人がトークンを売却して資金調達を行う行為は、資金決済法違反にあたる可能性があります。
この問題に気が付いたのか、先日、説明文は変更されました。
【変更後】運営側の純粋な利益ではなく、Japan is Backが掲げるビジョン「テクノロジーの力で民主主義をアップデートする」を達成するための仕組みづくりに必要なあらゆる施策について長期的に利用されるものです。
さらに、ブロックチェーン上のデータを調査すると、サナエトークンは発行後すぐに複数アドレスに分配され、すでにエコシステム用の65%のかたまりはなくなっています。
分配されたアドレスから分散型取引所に送金して売却したトランザクションも確認されており、すでに運営による売りが始まっているとみられる状況です。

免責事項
プロジェクトは高市首相サイドとコミュニケーションをとっていて、高市首相の公認団体がサナエトークンを紹介したことから、高市首相側はこのプロジェクトに首相の名前や写真の使用を許可しているはずですが、免責事項には奇妙な文があります。
現時点において、本トークンは、高市氏と提携または承認されているものではないことにご留意願います。
これにより、サナエトークンは首相の名前を勝手に使って商売している疑惑が生まれました。
本トークンの販売が制限または禁止されている国・地域が存在します。そのような国・地域にお住まいの方は、本トークンの購入や保有はできません。
日本人以外でサナエトークンを検索している国があるのだろうか。Googleトレンドで検索数を調べたところ、日本だけでした。
公式サイトは日本語のみ。サナエトークンは一体どこの国にトークンを売ろうとしているのでしょう。

そして何と、高市首相本人のXアカウントがサナエトークンについて声明を出し、サナエトークンとの関与を完全否定するという異例の事態となりました。

このトークンについては、私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません。本件について我々が何らかの承認を与えさせて頂いたこともございません。
高市首相本人の発表を受けて、サナエトークンの価格は-58%暴落しました。

暴落の翌日3月3日、高市首相の公認団体は、聞いていたのと全く違う話だったとして、サナエトークンを紹介する投稿を削除すると発表しました。

同日3月3日、藤井聡氏がサナエトークンと自身の関係について口を開きました。
なんと彼はボランティアの形で無償で協力し、トークンの発行・供給・販売には関与していないと主張しました。
番組で説明していたことと話が食い違っていて、サナエトークンの中心人物は誰なのか不明になりました。

サナエトークンは爆上げる?それとも詐欺?
仮に、サナエトークンが現在価格の1000倍になった場合、時価総額は50億ドル規模となり、暗号資産の時価総額ランキング20位以内に入ります。
倍率だけを見れば、理論上1000倍は不可能な数字ではありません。
現時点でサナエトークンは詐欺と断定できる証拠は出ていませんが、プロジェクトを取り巻く状況を見ると、慎重に検討すべき論点が複数存在します。
以下に、主な論点を整理します。
首相本人による関与否定
高市首相がサナエトークンへの関与を完全否定する声明を発表したことで、プロジェクトの目標「政策立案者に声を届ける」という構想がどのように実現されるのかは不透明になりました。
有名人の名前を無断で商用利用する手法は、倫理的にも法的にも極めて問題があります。
信用は地に落ちたため、ユーザーがアプリに政治の意見を投稿しても政策立案者には届かないシステムで終わるリスクがあります。
トークン設計上のリスク
サナエトークンの構造は、投資家にとって非常に不利なものとなっています。
発行枚数の大半(約70%)を運営が握っており、しかもそれを「番組制作費や運営費のために売却する」と宣言しています。
通常、信頼できるプロジェクトは運営が勝手に売却できないようトークンを一定期間ロックしますが、サナエトークンにはその形跡が見られません。
すでに大量のトークンが複数のアドレスに小分けにされており、いつでも市場で売却できる準備が整っている疑いがあります。すでに運営が分散型取引所で売却を始めたとみられるトランザクションも存在します。
法規制上の論点
暗号資産を日本居住者向けに販売するには、資金決済法に基づく暗号資産交換業のライセンスが必要ですが、NoBorderはライセンスを取得していません。
報道によれば、首相の名前を利用した誤認勧誘の疑いを含め、金融庁が調査を検討しはじめたとのことです。当局の介入があれば、プロジェクトの継続自体が困難になります。
その他、発行主体NoBorderのルーツを辿ると、過去に投資家をはめて消えた人物が設立した会社NorBorder.zが存在し、情報弱者をはめることを狙ったプロジェクトである懸念を払拭できないため、サナエトークンは「爆上げしない」と私は予想します。
ただし、怪しいコインでもイナゴが発生したら一時的に上がることはあります。過去の暗号資産では怪しいコインが急騰したことは何度もあります。
そしてイナゴは養分になることでしょう。
真の中心人物は誰なのか。何か分かったら追記します。


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