2025年7月3日、参議院議員選挙の立候補者が発表され、選挙運動が本格的にスタートしました。投開票日は7月20日。日本経済の先行きに不安を抱える国民が増えているなか、未来をどう変えるかを選択する大事な選挙です。
この記事のターゲットは、ずばり「暗号資産」
これからの日本経済を支えるポテンシャルを秘めた暗号資産に対し、各政党がどのような姿勢を取っているのかをガッツリ分析していきます。
そもそも参院選ってどんな選挙?
日本の国会は、衆議院(定数465名、任期4年)と参議院(定数248名、任期6年)の二院制で構成されています。参議院議員は3年ごとに半数(124議席)を選挙で選び直す仕組みで、今回はこの124議席をめぐる戦いになります。
現在の与党(自民党+公明党)の議席数は141議席、野党(自民党+公明党以外)の議席数は99議席で、与党が圧倒的過半数を占めています。
今回の選挙で注目されているのは、与党が過半数を維持できるかどうか。過半数維持には、今回の選挙で50議席以上を獲得する必要があります。

立候補者数は522人。競争率4.18倍の超激戦となっています。
参院選には選挙区選挙と比例代表選挙の2種類があり、投票用紙は1人2枚です。
選挙区選挙は都道府県ごとの地域に立候補した候補者から1人または複数人を選ぶ選挙で、有権者は投票用紙に「自分の都道府県の候補者の名前」を記入します。
比例代表選挙は全国単位で行われ、政党の得票数に応じて議席を比例分配する選挙です。有権者は投票用紙に「政党名または候補者名」を記入します。
有権者が最も重要視する政策は「物価高対策」
いま日本の家庭に直撃しているのは、日々の生活費の高騰。スーパーでの買い物、電気代、ガソリン代。。あらゆる物の価格が上がっており、国民生活はじわじわと苦しくなっています。そのため、今回の参院選では「物価高対策」が最大の争点になっています。
その他、「年金・社会保障制度」、「教育・子育て支援」、「外交・安全保障」、「政治とカネ」に注目している人も多いです。
一方、将来の日本の国際競争力を考えると、暗号資産やAIといった成長産業への政策も見逃せません。これらは産業構造を根本から変える可能性を持っており、世界との競争に勝ち抜くためには避けて通れない分野です。
では、各政党は暗号資産やブロックチェーンに対して、どんな公約を掲げているのでしょうか?一挙にご紹介します。チェケラ
各政党の「暗号資産」マニフェスト比較
自民党
参院選2025の選挙公約の資料に暗号資産に関する記述が1つあります。

国民の資産形成を後押しするため、インサイダー規制や分離課税の導入などにより、暗号資産の取引の健全性を確保します。
自民党 第27回参議院選挙公約
政策集にも暗号資産に関する記述があります。

政府における司令塔の設置など、Web3 時代を見据えた環境整備を進めていきます。
また、暗号資産の投資対象化の進展を踏まえ、我が国の暗号資産取引ビジネスの健全な発展に向けて、適切な投資機会の提供と投資家保護を図るため、規制・税制の見直しの検討を行い、環境整備を行います。自民党 総合政策集2025
今回の選挙とは直接関係ありませんが、自民党は昨年の税制改正大綱に暗号資産課税の見直しを検討することを盛り込み、6月に金融庁が暗号資産の規制を金商法に移行することを提案するなど、制度見直しが進められています。
立憲民主党
参院選2025の選挙公約資料には暗号資産に関する記述はありません。
政策集2025には暗号資産に関する以下の内容が記載されています。

国際競争力確保の観点から、Web3.0の発展に大きく関係する暗号資産税制を見直します。
立憲民主党 政策集2025
しかし、立憲民主党が国会や演説で暗号資産の制度改革について強く訴えているのを私は見たことがありません。
公明党
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
2025政策集にはブロックチェーンに関することが1つ記載されています。

ブロックチェーン技術を用いた社会課題解決などに期待が集まるWeb3.0の健全な発展のため、金融制度や会計などの事業環境整備、人材育成等に取り組みます。
公明党 政策集2025
日本維新の会
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
政権公約2025にはブロックチェーンの記述があります。

ブロックチェーン技術等を活用したインターネット投票(スマホ投票)の実現を目指すとともに、マイナンバーカードの活用なども視野に投票の利便性を高め、投票率の向上を図ります。
日本維新の会 政権公約2025
維新八策2025には暗号資産の税制改正についての記述があります。

国際金融市場における競争力の確保の観点から、暗号資産税制の改正を行い、雑所得としての課税方式からキャピタルゲイン課税に改めます。また、暗号資産に対する過度な行政指導の見直しを検討します。加えて、暗号資産を利用した資金決済分野の革新を後押しするとともに、ブロックチェーン技術の研究開発を進め、暗号資産の分野で世界をリードする先進国の立場を取り戻します。
日本維新の会 維新八策
日本維新の会は、暗号資産技術の推進に積極的な姿勢ですが、政権公約に暗号資産の税制改正を盛り込まなかったことがいまいちな点です。
共産党
- 参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。金融所得課税の強化の姿勢をとっているので暗号資産の税制改正には後ろ向きと考えられます。
国民民主党
暗号資産について最も明確かつ積極的な姿勢をとっている政党です。
参院選2025の政策パンフレット、特設サイトに暗号資産について記述があります。

・申告分離課税(最大55%→20%)
・損失繰越控除(3年間)
・暗号資産同士の交換時は非課税とする。
・レバレッジ倍率を2倍→10倍に引き上げる
・暗号資産ETFの導入
・円を電子通貨化
・地方自治体による暗号資産の発行を推進
国民民主党 第27回参院選 特設サイト
申告分離課税への変更だけでなく、暗号資産市場の活性化に必要な制度変更を挙げています。
れいわ新選組
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
景気を回復・安定化させるために「大金持ちや大企業から税金を取る」という政策なので、暗号資産長者には厳しい印象です。

社会民主党
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
参政党
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。

政策集にブロックチェーンに関する以下が記述されています。

ブロックチェーン等のセキュリティが堅牢なシステムでの、インターネット投票を導入
参政党 政策
政策資料には記載されていない内容について、参政党代表の神谷宗幣氏が国会で暗号資産の税制改正やビットコイン準備金など、暗号資産を活用した新たな金融戦略を検討することを政府に要望しました。
また、日本政府発行の暗号資産(子育てクーポン)を提案するなど、暗号資産に積極的な姿勢を示しています。
日本保守党
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
NHK党
参院選2025の選挙公約資料が見当たりません。
政策集には暗号資産に関する記述はありませんが、昨年2024年のマニフェストで暗号資産に関する以下を記載しています。

暗号資産の取引等に対する不合理な重税を改め、国民生活等に対するブロックチェーン技術の浸透を推進するよう求めます。
NHK党 マニフェスト2024
また、昨年2024年12月に、浜田聡議員が日本政府にビットコイン準備金を検討すべきという意見を提出しました。
政府の回答は「暗号資産を保有することについて検討することは考えていない」
チームみらい
参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
チームみらいはAIを活用して、テクノロジーで政治のアップデートを行うことを目標とする政党です。政策に、税金の使い道の見える化など、国家予算の使い道を誰でも簡単に閲覧できるようにすることが書かれているのでブロックチェーン技術を使うのかと思いそうですが、ブロックチェーンを使う話は見当たりません。
チームみらい専用のAIに聞いてみたところ、「暗号資産に関する具体的な政策はまだ含まれていない」と回答が返ってきました。

日本改革党、日本誠真会
- 参院選2025の選挙公約資料に暗号資産に関する記述はありません。
まとめ:どの政党がビットコインを爆上げさせる?
今回の選挙で暗号資産を推進しそうな政党をまとめると以下のようになります。
推進派
国民民主党:最も詳細で実現可能性の高い政策を提示している。
参政党:暗号資産の税制改正、暗号資産を活用した新たな金融戦略(ビットコイン準備金、政府発行の暗号資産など)を主張している。
なんちゃって推進派
自民党:政策にはあるが、今年9年ぶりに暗号資産税制の見直し検討を開始するなど、ゆっくり感が否めない。
立憲民主党:政策にはあるが、暗号資産制度改正の強い主張を聞いたことがない。
日本維新の会:政策にはあるが、暗号資産制度改正の強い主張を聞くことが無くなった。
NHK党:政策にはあるが、本当にやる気があるか不明。まずはNHK受信料廃止の実績を作ってからの話か
不明派
チームみらい:一番暗号資産の推進を主張しそうな政党だが、言及なし。
消極または規制派
共産党:金融所得課税強化
れいわ新選組:金融所得課税強化、税金は金持ちから取る
社会民主党、:記載なし
日本保守党:記載なし
日本改革党:記載なし
日本誠真会:記載なし
暗号資産の税制変更に明確に反対している野党はいないため、今回の参院選の結果、与党が過半数を維持するかどうかに関わらず、暗号資産の規制は金融商品取引法に移行され、税制が申告分離課税(税率20%)になる可能性は高いと見られています。
一方で、暗号資産市場の活性化と産業発展をさらに後押しする制度改正――損失繰越控除、暗号資産同士の交換の非課税化、レバレッジ倍率の引き上げ、政府による暗号資産の保有(ビットコイン準備金)など――が実現すれば、ビットコインと暗号資産市場の強い追い風になることは間違いありません。
よって、暗号資産を爆上げさせるのに一番近い政党は、国民民主党と参政党になりました。
これらの政党が政権を取らなければ実現は難しいのが現実ですが、日本経済の将来を見据えて、AIと暗号資産の課題は超党派で合意形成されるべきテーマでもあり、世論の高まりや経済的な必要性によって、与党が方針を転換する可能性もゼロではありません。
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