TradingViewの使い方10「回帰トレンドを引く」
トレンドに合わせて平行線を引くときは「平行チャネル」を使って自分の感覚で引きます。
下図は平行チャネルで引いた線です。
⇒参考「平行チャネルとは」
平行チャネルを使っても問題ありませんが、「回帰トレンド」を使うと回帰分析に基づいて自動で平行線を引いてくれます。
まずは引いてみましょう。
下図青枠をクリックします。
もう一度下図青枠をクリックすると、右隣りにメニューが表示されるので「回帰トレンド」を選択します。
回帰トレンドの開始と終了の期間をクリックで指定します。Y軸方向の位置は気にしなくていいです。
以下の動画は回帰トレンドを引くシーンです。トレンドに合わせた平行線がサクッと描けました。
回帰トレンドとは何かについて順を追って説明しましょう。
下図は6つの日時における価格のしるしを付けたものです。下図に価格の動きを表す線を引きなさいと言われたらどこに引きますか?
人間が引いたら、微妙に角度や場所が異なる線が沢山できあがります。
回帰分析では、点と線のY軸方向の距離の合計が最小となる線を引きます。これにより同じデータから作られる線は1本のみになります。
下図の場合、距離1+距離2+距離3+距離4+距離5+距離6の値が最小となる線が回帰トレンドです。
回帰トレンドを求める公式は以下になります。Y = a + bXは中学生で習う1次関数ですね。
公式の証明は教科書などの専門書にまかせるとして、実際のデータを使って回帰トレンドを引いてみましょう。
下図①~⑤のローソク足のデータを用います。公式のXは日数、Yは価格になります。
下図は公式内の個々の値をExcelで計算した結果です。
b = 1880.3 ÷ 10 = 188.03
a = 8602.66 + 188.03 × 3 = 8038.57
よって回帰トレンドの一次関数は、
Y = 8038.57 + 188.03 X
ローソク足の1本目から5本目までに回帰トレンドの線がどこを通るかを計算すると下表のようになります。
ローソク足 | 回帰トレンドのY座標 |
---|---|
1本目 | Y = 8038.57 + 188.03 × 1 = 8226.6 |
2本目 | Y = 8038.57 + 188.03 × 2 = 8414.63 |
3本目 | Y = 8038.57 + 188.03 × 3 = 8602.66 |
4本目 | Y = 8038.57 + 188.03 × 4 = 8790.69 |
5本目 | Y = 8038.57 + 188.03 × 5 = 8978.72 |
下図は5本のローソク足で回帰トレンドを引いた結果です。(紫色は加筆箇所)
中央線が回帰トレンドの座標と一致しました。
回帰トレンドの上方にある青い領域は上方偏差、下方にある赤い領域は下方偏差を表しています。
想定していた偏差と計算結果が微妙に合わないので、TradingViewに問い合わせてみましたが、回帰トレンドのソースは非公開になっているので計算式について知ることはできませんでした。
回帰トレンドを右クリック⇒「設定」をみると、偏差の値は2に設定されているので、青と赤の領域内に95%のデータが収まると考えていいでしょう。
サクッと平行線。利用しましょう。
標準偏差についてはボリンジャーバンドの記事も参考にどうぞ。
⇒「ボリンジャーバンド」