米国州でビットコイン準備金の設立決定。日本もいずれ導入する理由
まずは、歴史的な快挙にお祝いを!🌈🎉🎊
2025年5月7日、アメリカ・ニューハンプシャー州で州初となるビットコイン準備金の設立が正式に決定しました。
ヽ( ´▽`)ノ おめでとうございます!
これは暗号資産業界、そしてアメリカ全体にとって記念すべき一歩であり、今後の世界的な流れを象徴する出来事と言えます。
そして翌日の5月8日には、アリゾナ州でも同様にビットコイン準備金の設立が決定。これで2州が正式に暗号資産を準備資産として取り入れたことになります。

ニューハンプシャー州とアリゾナ州の取り組み
ニューハンプシャー州の法案では、公的資金の最大5%までを、時価総額5000億ドルを超えるデジタル資産(現段階ではビットコインのみ)や金、銀、プラチナなどの貴金属に投資できることが明記されています。これは「国家通貨だけに頼らない備え」としての意味を持ちます。
一方、アリゾナ州では3つのビットコイン準備金関連法案が審議され、注目を集めてきました。
まず、SB1025法案(公的資金の一部をビットコインに投資する案)は州議会を通過しましたが、最終的に知事が拒否権を行使し、廃案となりました。
その後、5月8日にHB2749法案(放棄された暗号資産を原資にした準備基金設立)が知事の署名を得て成立し、アリゾナ州でも正式にビットコイン準備金が設立されることとなりました。
さらに、SB1373法案(押収資産+予算で暗号資産を保有)は現在、知事の署名待ちとなっています。この法案では、州が押収した資産と議会が割り当てた予算でデジタル資産を購入・保有し、上限10%までを運用することも可能としていますが、金融リスクが増加しない場合に限られるなど、安全性に最大限の配慮がされています。
他の州の動向
2025年に入り、アメリカ全体でデジタル資産関連の法案提出数が急増し、143本のデジタル資産関連法案と48本のビットコイン準備金法案が提出されました。
40州でデジタル資産関連法案が、27州でビットコイン準備金法案が審議され、7州はビットコイン準備金法案を否決しています。
最も惜しかったのがユタ州です。ユタ州の法案は下院を通過し、上院本会議で可決されればアメリカ州初のビットコイン準備金になるところまで進みましたが、最終段階の修正でビットコイン準備金の条項が削除されるという残念な結果になりました。実現直前で頓挫したこの経緯は、州内外で大きな議論を呼びました。
現在はテキサス州やノースカロライナ州などで法案の審議が進んでおり、今後も「州レベルのビットコイン準備金」が全国的に広がっていく兆しがあります。
アメリカ政府の動き:国家備蓄としてのビットコイン
ルミス上院議員は、財務省に保管されている金証券の莫大な含み益を活用して、5年間で100万BTCを購入する法案を提出しました。これは、アメリカ政府が公式にビットコインを戦略的準備資産として扱う動きの一環です。
この法案の提案者(提案者+共同提案者)の人数は、上院と下院を合わせて15人にまで増えており、いまやアメリカ国内だけでなく世界の注目を集める法案となっています。
ニューハンプシャー州やアリゾナ州に見られるように、州政府によるデジタル資産やビットコイン準備金への積極的な取り組みは、国家レベルでのビットコイン準備金構想に現実味をもたらす先行モデルとして機能するはずです。

日本の都道府県はビットコイン準備金を設立する?
実は、現行の法律では、日本の地方自治体がビットコインのような暗号資産を準備金として保有することは事実上できません。
地方自治体には一定の自治権が認められていますが、財政運用については国の法律(地方財政法など)の制約を強く受けており、預金・国債・地方債といった安全性の高い資産でしか準備金を構成できない仕組みになっています。
そのため、仮に都道府県がビットコインを保有したいと考えても、現行法のもとでは不可能であり、まず必要なのは、日本政府がビットコインを「保有してもよい資産」として明示的に認めることです。つまり、都道府県が動くよりも先に、政府がビットコインを実際に保有し、制度として明文化する必要があります。
2024年12月にNHK党の浜田聡参議院議員が政府に以下の質問主意書を提出しました。
(質問1) 前記の米国やブラジルを始めとする諸外国におけるビットコインをめぐる動きについて、政府の把握状況及び見解を示されたい。
(質問2)我が国においても、外貨準備金の一部をビットコイン等の暗号資産にすることを導入すべきかどうか検討を始めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

政府は以下の回答をしました。
(回答1)詳細を把握しておらず、政府として見解をお示しすることは困難である。
(回答2)いずれにしても、暗号資産を保有することについて検討することは考えていない。

このように、政府は「暗号資産を保有することについて検討することは考えていない」と明言しており、現時点では政府としても全く前向きではありません。
日本政府がビットコインを保有する未来はあるのか?
では日本は永遠にビットコインを保有しないのか?といえば、そうとも言い切れません。
もしアメリカが公式にビットコインを準備資産として保有し始めたり、IMFやBISが暗号資産を分散保有の対象として推奨したり、G7諸国がビットコインを保有し始めれば、日本政府もそうした国際的な同調圧力を無視できなくなるでしょう。
日本は歴史的に、「前例がないことには慎重」な国であり、他国の成功例や制度を見てから導入する「後追い型」国家です。金融や税制や労働制度の多くも欧米の制度をベースに設計されています。
アメリカが先陣を切り、IMFや国際機関が追随する形が整えば、日本政府も検討を始め、法改正を通じてビットコインの一部保有が現実化する可能性があります。
その後、地方自治体が保有できる資産の範囲が拡大され、都道府県が金やビットコインを基金として保有する未来もあり得るでしょう。
まとめ
- ニューハンプシャー州とアリゾナ州がビットコイン準備金を設立しました。
- 他の州でも審議が進んでいて、次はテキサス州やノースカロライナ州の結果が待たれています。
- 州政府によるデジタル資産やビットコイン準備金への積極的な取り組みは、国家レベルでのビットコイン準備金構想に現実味をもたらす先行モデルとして機能します。
- 日本の都道府県がビットコイン準備金を設立するのは現在の法律では不可能で、まず政府が先にビットコインを準備資産として保有し、制度として明文化する必要があります。
- 日本では、政府が「ビットコインを保有することは検討しない」と明言しています。
- アメリカやG7諸国が公式に保有を開始し、IMFやBISが分散保有を推奨するなど、国際的な流れが整えば、日本政府も検討をはじめ、法改正を通じて都道府県が金やビットコインを基金として保有する未来もあり得ます。
世界がビットコインを準備資産として認め始めたとき、日本がどのタイミングで動き出すのか。その瞬間を、今後もウォッチしていきます。