Tether(USDT)|法定通貨と同じ価値のペッグ通貨
最近、仮想通貨のネガティブキャンペーンのように悪いニュースが続いています。
そして今回のネガティブニュースは「CFTC(米商品先物取引委員会)がTether(テザー)とBitfinex(ビットフィネックス)に召喚状を出した」です。
⇒参考:CNN「CFTC Subpoenas Bitfinex and Tether as Questions Mount Over Audit」
米商品先物取引委員会は、市場参加者を守るために商品取引所の監視と監督をする権限を持っている機関だからです。ちなみにCFTCは、Commodity Futures Trading Commissionの略です。
召喚状とは、裁判所などの場所に出頭することを証人に命じる令状のことを言います。
つまり、悪事を働いたと疑いのあるTetherとBitfinexにちょっと来いと命令したということです。
Tetherとは
Tetherは法定通貨と1:1の価値になる仮想通貨を発行するプロジェクトです。海外の取引所で「BTC/USDT」のようなUSDT建ての取引を見たことがある人もいるかと思います。この「USDT」がテザーの仮想通貨です。ドルの通貨コード「USD」の後ろにTを付けて「USDT(ユーエスディーティー)」と読みます。
つまり、1ドル = 1 USDTということです。
利用者はTetherの口座にドルを預け、Tetherは預かったドルと同じ量のコインを発行します。これによってUSDTの総発行枚数と同じドルを準備しておくことが可能になり、1ドル=1 USDTの価値が担保されています。
手数料を見てみると、ウォレットへの送金が無料(1日1回まで使用可)と書かれています。むむ。これは個人間のUSDTのやりとりが無料になると考えていいのだろうか。であればめっちゃお得やん。
Bank Account(銀行口座)の場合は20ドルの手数料がかかるそうです。
Tetherの公式サイトのFAQには手数料について以下のように記載されています。
Question. How much does Tether cost to use?
Answer. Tether has almost zero conversion fees, charges no commissions and offers top market exchange rates.Sending between Tether.to wallets is always free.
When sending from your Tether.to wallet to an external tether-enabled wallet, we will absorb all Blockchain fees. Fees occurred when sending tethers outside of our wallet are outside our control.
引用元: Tether FAQ
直訳すると、以下のようになります。
Tether.toウォレットのみを使って送金し合えば手数料が無料になるようです。価格が変動する心配がなく、手数料も無料で送れるとなれば便利です。
BINANCEのUSDTの出金手数料を確認してみたところ20.5 USDTでした。Tether.toの外部のウォレットのため手数料がかかります。
以下はtetherの公式サイトにあるFAQで気になった文章です。
Question. What real-world currencies does Tether support?
Answer. Tether initially supports US Dollars (USD), Euros (EUR), and soon Japanese Yen (JPY). Represented by ₮, tether platform currencies are denoted as USD₮, EUR₮, and JPY₮.引用元: Tether FAQ
直訳すると
もうすぐ日本円のテザー(JPYT)が登場するんですね。
実際使ってみないと分からないので、JPYTが登場したらtetherのアプリを使って送金を試してみようと思います。
ホワイトペーパーにはTether社のリスクについて以下のように書かれています。
these risks. Here is a summary of the weaknesses in our approach:
● We could go bankrupt
● Our bank could go insolvent
● Our bank could freeze or confiscate the funds
● We could abscond with the reserve funds引用元: Tether WhitePaper
直訳すると、以下のようになります。
かなり気分が重くなるリスクです。私たちが銀行に預けているお金は、万が一銀行が倒産しても1000万円までは国が保証してくれるので心配はいりませんが、Tether社が倒産した場合は、USDTやEURTの価値を保証するものが何もなくなります。
なので、銀行口座のような気分でJPYTを保有しておくのはリスクが高いので、送金後は法定通貨に変えておいたほうがいいでしょう。
Tether社がかけられている疑い
以下の2点について疑いがかけられています。
①については、はTether社が準備金があるという決定的な証拠を提示していないというのが問題です。
②については、Tether社が発行した大量のUSDTがBitfinexに着金したあとにビットコインの価格上昇が起きることが多いという事実から、Tether社とBitfinexが結託してビットコインの価格操作を行っているのではないかと疑われています。ちなみにTether社とBitfinexは同じ役員が多く所属しています。
この疑いについて不思議に思う点
そもそも、召喚状が出されたのが2017年12月6日なので、現在(2018年2月2日)より2ヶ月も前の話です。本当に問題があったなら、とっくに何かしらの発表や動きがあったはずですが、何で今更この話を持ち出したのだろう。。
仮に大量のUSDTを不正に発行していたとして、それを関係の深いBitfinexに送って、着金したらすぐにビットコインを買いまくって価格を暴騰させるみたいな、速攻でバレそうなお粗末な犯行を頭のいい人たちがするだろうか。。
準備金があるか無いかの証明はすぐに出せるはずだけど、結果は報道されず疑いだけが独り歩きしているのはなぜだろうか。
Bitfinexは虚偽の申し立てに対して訴訟を起こすといったけど、訴訟のその後はどうなったのだろうか。
結局、この報道もネガティブキャンペーンのために作られたような報道に読めますが、Tetherが今後どうなっていくのか注視していこうと思います。
今のところTetherの価格の動きにおかしなところはなく、1 USD = 1 USDTが保たれています。