大竹一樹「プレミアムICO」は価格が100倍になるICOに参加できる
情報商材の詐欺プロジェクトは「あなたから1円も頂きません」と言って警戒心を緩めてから商材を紹介し、最後に高額な入会金を提示するのが一般的です。
一方、ICOの詐欺プロジェクトも「あなたから1円も頂きません」と最初に言いますが、トークンの購入料金以外はかからないで終わることが多いです。いっけん良心的なプロジェクトに思いそうですが、トークン価格が公式の数倍に設定されていたり、そもそもICO自体が詐欺のこともあります。
参加費が本当にかからなくても安心せずに、トークン価格がピンハネされていないか確かめることを忘れないで下さい。
最近登場した仮想通貨投資案件に「プレミアムICO」があります。私はこれは詐欺案件だと思っています。本記事ではその理由を説明します。
なお、私が詐欺だと思っているだけで、実際に詐欺かどうかは現時点では明らかになっていません。この記事は、プロジェクトへの参加、不参加を強制することを目的としたものではないので、他のサイトの情報や家族、友人の意見も参考にして、ご自身の判断のもと投資するかどうかを決めて下さい。
また、本記事で使用している画像のすべては、検証を目的として一般公開されているものを引用したものです。
(引用元:http://premium-ok.com/fq432j7/f1hrc.html)
このプロジェクトは、2018年内に価格が100倍になるICOに参加できるプロジェクトです。
主催者は大竹一樹氏(おおたけかずき)。IT企業3社のオーナーを務め、12億円ぶんの仮想通貨を保有する資産家で、周りからはICO長者と呼ばれているそうです。
(引用元:http://premium-ok.com/fq432j7/f1hrc.html)
今回の自己紹介も詐欺師によくあるのプロフィールになっています。それは、
社名やグループ名を言わない
です。IT企業3社のオーナーであれば、自分の信用を裏付けるために自己紹介で社名を言うはずです。社名を言えない理由があると考えられます。
Google検索で大竹一樹氏の情報を探してみましたが、今回のプロジェクトの情報以外、大竹一樹氏らしき情報は見つかりませんでした。
お笑いコンビ「さま~ず」の大竹一樹氏と同性同名です。先週(2018年7月18日)開催されたSALVAGEプロジェクトの中島裕之氏はプロ野球選手と同じ名前でした。有名人と同じ名前を使った検索逃れが流行ってきたのかも知れませんね。
⇒引用元:Google検索「大竹一樹 ICO」
地球をバックにしたセールスページといえば、2018年4月に開催されたFinTech Nationsです。
下図左が今回のプロジェクト、右がFinTechNationsのセールスページです。
(引用元:http://fintech-nations.com/lp/main)
プレミアムICO | FinTech Nations |
---|---|
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上記のように文章が酷似している箇所もあるので、今回のプロジェクトはFintech Nationsと同じ会社が関わっている可能性があります。
Fintech Nationsは、最上流の情報が作られる現場の情報を使って億万長者になれることをうたってICOの仲介販売を行うプロジェクトでしたが、ふたを空ければICOをボッタクリ価格で販売するプロジェクトで、被害者からの多くの被害コメントが本サイトに届いています。
⇒「Fintech Nationsとは」
ICOを購入するときは自分の資産を仲介販売業者に送金するので、送金先の会社が信用できるのかが重要です。しかし、このプロジェクトは特商法取引法に基づく表記が無いため、会社や代表者が正体不明です。
下図は、9億円の資産を保有していることを示す証拠画面です。イーサリアムの資産が9億円と表示されています。
(引用元:http://premium-ok.com/fq432j7/f1hrc.html)
画面にQASH(キャッシュ)と表示されているのを見て何のアプリだか分かった人もいるのではないでしょか。
そうです。QUOINEX(コインエクスチェンジ)のライト版アプリです。大竹一樹氏は9億円ぶんのイーサリアムをQUOINEXという取引所に預けっぱなしにしていることになります。万が一、取引所がハッキングされたら9億円の資産が吹っ飛ぶ可能性があるので非常に危険です。
スリルが好きなのか。Mなのか。
仮想通貨を長期保有するときはハードウェアウォレットを利用しましょう。
下図は、QUOINEXライト版アプリの実際の画面です。
先ほどの証拠画像には変な箇所があります。
下図のように、日本円の下には仮想通貨の保有枚数が表示されていて、単位がBTCならビットコイン、ETHならイーサリアムを表しています。
イーサリアムの下は「3,239,563 円(50.22 XRP)」と表示されているのでリップルの資産であることが分かります。
日本円を保有枚数で割ると1枚あたりの価格が分かるのでリップルの価格を計算してみると、
323万9563円 ÷ 50.22 XRP = 64507.42 円
リップルの2018年7月現在の価格は約50円なのでまったく計算が合いません。よって、この証拠画像は偽造であることが明らかとなりました。
(引用元:http://premium-ok.com/fq432j7/f1hrc.html)
ビットコインとイーサリアムの計算結果を下表に載せておきます。
日本円換算 | 保有枚数 | コイン価格 | |
---|---|---|---|
ビットコイン | 2239667円 | 2.775BTC | 807087.21円 |
イーサリアム | 909949313円 | 17108.01089792ETH | 53188.49円 |
リップル | 3239563円 | 50.22XRP | 64507.43円 |
このプロジェクトが紹介するICOの具体的な名前は明らかにされませんでしたが、大竹一樹氏はWowoo、OKWAVE、Redhorseの3社で行われるICOであると説明しました。
(引用元:http://premium-ok.com/fq432j7/f1hrc.html)
上記の3社で行われるICOといえば1つしかありません。ProjectZENです。
⇒参考「Project ZEN(AEN)説明資料」
ProjectZENは寄付市場のプラットフォームを実現するプロジェクトです。そのプラットフォームで使われる仮想通貨がZENで、通貨単位はAEN(アイン)です。
現在の寄付市場では、寄付したお金が何に使われているのか把握できないため不正利用されても分かりませんが、ProjectZENはこの問題を解決し、寄付がいつ、どこで、どのように使われたのかが永久的に保存、参照することができるようになるそうです。
寄付の透明化によって、寄付する側もされる側も安心して寄付のやり取りができるようになりそうです。
大竹一樹氏は今回のICOについて以下の動画のように言いました。
(引用元:http://premium-ok.com/fq432j7/f1hrc.html)
既に手に入れることが出来ないプレミアムICOと言いました。
このICOは3ヶ月前の2018年4月下旬から複数のユーチューバーが仲介販売をしていました。
価格は
1 AEN = 0.0005 ETH
です。
5月に紹介していたユーチューバーは5月18日に募集が終了すると言い、6月に紹介していたユーチューバーは6月15日でICO募集が終了すると言い、のように募集終了をちらつかせて買い煽るのが印象的でした。
しかし、ZENの公式ページを見てみると下図のように「PRE-TOKEN SALE STARTS ON ON July 2018 to be scheduled(2018年7月にプレセールが開始予定)」と書かれています。
⇒引用元「ZEN FOUNDATION」
ロードマップにも
July 2018 Pre-Sale(2018年7月プレセール)
Aug – Sep 2018 Token-Sale & ICO(2018年8月~9月 トークンセール&ICO)
と記載されています。
⇒引用元「ZEN FOUNDATION」
トークンセールの詳細には、ユーチューバーと同じ価格の
1 AEN = 0.0005 ETH
が記載されています。
もし公式サイトからAENを普通に購入できるなら、大竹一樹氏が言った「AENは既に手に入れることができないプレミアムICO」という話は嘘という結論になります。
⇒引用元「ZEN FOUNDATION」
2018年5月上旬のイーサリアムの価格は8万円前後で、2018年7月現在の価格は5万円前後なので、仲介販売者から買った方が得をしたということはありません。むしろ、これから行われるプレセールで買ったほうが得です。
⇒引用元:Zaif「ETH/JPY」
AENは寄付に関する仮想通貨です。寄付を受けた団体は寄付金を使うためにAENを売ることになります。そのため、投機目的で仮想通貨を保有し続ける力は他の仮想通貨より大きくなることはないでしょう。
ゆえに、2018年内に100倍になるという大竹一樹氏の話はデタラメの可能性があります。
以上、プレミアムICOの検証結果です。
このICOの購入を検討している人は、販売会社の信用に問題がないか、価格がピンハネされていないかを確認してから購入を検討することをお勧めします。公式サイトに問い合わせてもいいと思います。