イオスが日本初上場を予告。信用が地に落ちた今が買いか?
9月中にEOSが日本の取引所に初上場することが発表されました。
EOSは「エオス」または「イーオーエス」と読みたくなりそうですが「イオス」と読みます。
そうなると、IOSTは「イオスト」と読みたくなりそうですが「アイオーエスティー」と読みます。
初心者は混乱しそうです。
エロス?
イオスです。
ちなみにイオスのロゴは、公式サイト(下図左)、CoinMarketcap(下図中央)、Binance(下図右)などサイトによって結構異なります。
シンプルに書きやすくするためにリブランディングしたのかな。
イオスは、超高性能のブロックチェーンを開発しているプロジェクトです。
イオスの性能はレベチです。
暗号資産の性能を比較するときによく使われるのは、秒間トランザクション件数(Transactions Per Second、TPS)です。
TPSは、1秒間あたり最大何件トランザクションを処理できるのかを表した数値です。
ブロックチェーンの世界では、セキュリティを犠牲にして処理速度を高めればいいというものではありませんが、TPSの数値が高いほど性能が良いと判断されやすくなります。
下図赤四角は、7種類のブロックチェーンのTPSを比較した表です。
ポリゴンは7000件、ソラナは5万件、イーサリアムは15件のようにブロックチェーンによってTPSは大きく異なります。
そしてイオスのTPSは何と
100万件
何だね、このぶっ飛んだTPSは
1万件でも速いと言われるのに、イオスはそのはるか上です。
私は100万件の検証結果を実際に見たわけでもなく、公式が100万件と言っているのも見たことがありませんが、多くのサイトが100万件と書いています。
さらにイオスは超高性能だけでなく、トランザクション手数料が無料です。
イーサリアムはガス代高えとよく言われるのに対し、イオスは無料です。
( ゚д゚)
イオスは2017年にICOを実施し、41億ドルを資金調達しました。
当時の為替レートで計算すると4400億円前後
41億ドルは、テレグラムの17億ドルを超える暗号資産史上最大の資金調達額です。
このように、イオスは他を圧倒する高性能と手数料無料、資金調達額で注目を集めました。
下図はイオスの月足チャートです。
想定ICO価格は0.99ドル
2017年7月から取引が開始し、仮想通貨バブルで爆上げて2018年4月に最高値23ドルをつけました。
ICO価格の23倍
バブル崩壊で月足9本連続の陰線をつけて急落しましたが、それでも時価総額ランキングトップ10位に入る人気の暗号資産でした。
しかし、2019年以降はEOSのいい話はあまり聞かなくなりました。
ICOで資金調達した資金をUSDTの準備金として使っているのではないかとの噂が広がりました。イオスとUSDTの創始者は同じ人物です。
2019年、アメリカの証券取引委員会のSECがイオスの開発会社Block.oneに対し、未登録のICOを販売したとして2400万ドルの罰金を課しました。
2021年、イオスの価格を市場操作で不正に押し上げた疑いをかけられました。
同じ2021年、イオスコミュニティはイオス開発会社Block.oneに不満を持ち、Block.oneをネットワークから追放しました。
2022年からイオスの価格はICO価格0.99ドルを割りはじめ、2023年8月にバブル後安値0.51をつけました。
2023年、イオス財団はBlock.oneを提訴しました。
100万件と言われていたTPSは、いつの間にか1000件~4000件と言われるようになっていて、イーサリアムの開発者には、イオスは性能を売りにしていたけどすでに送金詰まりで行き詰っていることを指摘されました。
こうして、イオスは投資家からの信頼を失っていきました。
下図は今年2023年のイオスの日足チャートです。
3月3日に年初来高値をつけたあと下降トレンドに入り、5月に元旦初値を割りました。
強い下降トレンドが続いているので、この流れが続くと最安値の0.48ドルを割るのはそう遠くありません。
下図はイオスのインフレ率です。
イオスの発行上限は10億枚です。
2017年7月から2018年6月までの1年間に459%という驚異的なインフレ率で流通枚数が増加し、2018年6月に8億9614万枚になりました。
その後は平均4.4%のインフレ率で増加しています。
そして興味深いのは、2022年9月に発行上限の10億枚に到達したと思ったら、その後も増加が続き2023年8月現在は11億枚になっていることです。
CoinMarketcapを確認したところ発行上限は無限になっていました。
なんでやねん
何か理由があって発行上限を無限に変更したのかも知れませんが、
もし、これが後出しで変更した仕様なら、暗号資産全体の信用問題に発展する可能性があるので注意が必要です。
下図は、1日あたりのトランザクション件数です。
過去最高は2020年8月につけた1日8億8119件
2023年8月現在は322万件です。
2023年6月にバブル後最低の290万件まで減少しています。
下図はブロックチェーン別のTVL(Total Value Loked)です。
イオスは24位
下図はイオスのTVLの推移です。
イオスのTVLの過去最高は2022年3月につけた3億ドル
その後1億ドル以下まで急減しましたが、他のブロックチェーンも急減し、赤い線を見るとイオスの市場シェアは下がらずに現在も0.2%前後を維持しています。
イオスは今が買いかについては、
イオスは2018年の仮想通貨バブルの高値からマイナス97%、ICO価格も割るほど思いっきり下げているので、当然のことながら、これから開発の勢いが復活して市場シェアを伸ばすと予想するなら買いになります。
しかし、イオス財団はBlock.oneとの和解を拒否して争いはまだ続きそうなのと、コインの枚数が当初の発行上限10億枚を超えて増え続けているなど、プロジェクトのどのあたりを信用して資金を投じれいいのかが不明です。
強い下降トレンドも続いているので、いま買う人は勇気ある投資家といえるでしょう。