NEAR Protocolが日本初上場。イーサリアムキラーが自分をキラー
NEAR Protocol(ニアプロトコル)は、イーサリアムキラーです。
ロゴはNEARの頭文字で、先端が鋭く尖り、まるでカマのようだ。
もしかして、これはイーサリアムキラーの武器のイメージ。。?
イーサリアムキラーは、イーサリアムより優れたブロックチェーンを開発してイーサリアムに取って代わるかも知れないプロジェクトのことです。
現在のイーサリアムの問題点は、処理が大量発生すると遅延と手数料高騰が発生することです。
ニアプロトコルはシャーディングという機能でイーサリアムより秒間処理可能件数を多くすることで、大量の処理でも遅延が発生しないようにしています。遅延が発生しなければ手数料の高騰も発生しづらくなります。
シャーディングは、取引を検証するノードをグループに分けて、グループごとにブロックチェーンを持たせて検証を並列で行う仕組みです。
つまり、同時に処理できるものは分担して並列で処理しようぜ。
がシャーディングです。
このように、ニアプロトコルはイーサリアムの欠点を解消するブロックチェーンで、ニアプロトコルのプラットフォームの手数料の支払いやガバナンス投票に使われるのがNEARトークンです。
ニアプロトコルの凄い点は資金調達力です。
ベンチャーキャピタルやヘッジファンドから、2019年に約13億円、2020年に約24億円、2022年1月に約170億円、2022年4月に430億円の資金調達を発表して話題になりました。
リップル社、バイナンス、FTXの投資部門もニアプロトコルに出資しています。
下表はNEARトークンのICOです。2020年8月に実施されました。
ICO価格は0.4ドル、1年リニアロックで0.34ドル、2年リニアロックで0.29ドルに安くなります。
下図はNEARトークンの週足チャートです。
最安値は2020年11月につけた0.52ドル
2021年に爆上げして、2022年1月に最高値20ドルをつめました。
ICO価格の51倍
2022年4月にもう一度頂点をつけてから暴落モードに入り、最近の2023年8月17日に最高値後の安値1ドルをつけました。
下図はNEARトークンの日足チャートです。
今年2023年の値動きは、1月に2倍の上昇をしたあと下落基調が続き、8月現在は元旦価格を割っています。
このように、NEARトークンの下落基調が続いていますが、まだICO価格は割っていません。
NEARトークンのもう1つの特徴は、驚異的なインフレ率です。
下図はNEARトークンのトークン分布です。
初期発行枚数は10億枚で、配布先はプロジェクト支援者に約38%、運営・財団に約22%、セール12%、その他です。
10億枚のうち大半はロックがかかっていて、60ヶ月をかけて徐々にロックが解除されていきます。
ロック解除が完了するのは2025年なので、あと2年残っています。
発行上限は10億枚ではなく、新規発行ぶんを含めると2025年には12億8340万枚になっている予定です。
下図はNEARトークンのインフレ率です。
インフレ率は、トークンの流通枚数が1年間で何%増加したのかを表した数値です。
流通枚数は2020年から2023年までの3年間で約8億枚増えました。
インフレ率を見ると最初は200%以上、徐々に低下しているものの2022年11月まで50%を超える超高インフレが続きました。
こんなに高いと買おうと思うトレーダーは少ないので、買い圧は高まりにくく、プラットフォームの評判に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
イーサリアムキラーが自分をキラー!
(・□・;)
2023年8月は21.6%
緑色の山を見ると、7月から流通枚数の増加が止まっていて、これは報告を中断しているためと考えられるので、実際のインフレ率は22%よりも高いです。
なお、流通枚数の増加ペースは公式スケジュールより若干遅れているように見えます。(本当に遅れてるのかは不明)
現在の流通枚数は9億枚で、2025年に約13億枚になっているなら、今後2年間はインフレ率20%以上が続くことになります。
下図は、ブロックチェーンごとのTVL(Total Value Locked)のランキングです。
1位はイーサリアムで213億8700万ドル
ニアプロトコルは3344万ドルで36位
ニアプロトコルはイーサリアムのTVLの0.1%で、現在はまだ足元にも及ばない状況です。
下図はNEAR ProtocolのTVLの推移です。
全ブロックチェーンのTVLに対するニアプロトコルのTVLの割合の過去最高は2022年6月の0.6%
2023年8月現在は0.089%
過去最高から-85.2%減少しました。
まとめると
ニアプロトコルは大手のベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、暗号資産企業から巨額の資金調達をし、シャーディングの機能を使った高性能ブロックチェーンが売りのイーサリアムキラーとして話題になり、ICO価格の最大51倍まで爆上げしました。
2022年以降は価格が低迷していて、インフレ率が非常に高く、スケジュールどおり2025年の流通枚数が約13億枚になるなら今後2年間20%以上のインフレ率が続くことが想定されます。
日本の取引所のCoinTradeは、NEARトークンの上場とともに想定年率3%~6%のステーキングサービスを開始しましたが、インフレでコインの理論上の価値が薄まるぶんを相殺できません。
おそらく、ニアプロトコルの専用ウォレットからステーキングした方が利率は良いはずなので、長期投資する人はそちらを利用した方がいいと思います。
シャーディングは、イーサリアムの2023年後半~2024年のアップデートで実装される予定のため、シャーディングの観点からのニアプロトコルの優位性は今後低下していく可能性があります。
ニアプロトコルの市場シェアは0.1%以下でまだまだ小さくイーサリアムキラーとしてはこれからなので、シャーディング以外で何を売りに市場シェアを伸ばしていくのか今後もたまにチェックします。