明日、FTX保有の暗号資産売却を裁判所が判断。暴落したら何を買う?

2023年9月13日

アンゴロウ

FTXは2022年11月に経営破綻した暗号資産取引所です。

FTXが経営破綻したショックで大半のコインが急落しましたが、すぐに反発して、今年2023年にショック直前の価格を大きく超えたコインが沢山あります。

そして最近、FTX関連のネガティブニュースが再び暗号資産の価格にマイナスの影響を与え始めているので、FTXの歴史を振り返りつつ、FTXに何が起きているのか、買いなのか考察します。

それでは参ります。

2019年にアメリカ人のサム・バンクマンフリード氏がFTXを設立しました。

設立の数ヶ月後に大手取引所のバイナンスがFTXに出資し、お礼に大量のFTXトークンを受け取って2年間のロックをかけました。

FTXは勢いよく事業を拡大させていき、2021年に世界最大手のバイナンスに次ぐ大手取引所になりました。

しかし、2022年11月にFTXの不健全なバランスシートが漏れ、バイナンスはFTXが自社のFTXトークンを担保に多額の借金をしているなど不良経営を問題視して、バイナンスが保有しているFTXトークンを全部売ると発表しました。

するとFTXトークンが暴落、FTXから資金を引き出すユーザーが急増してFTXの資金繰りが急速に悪化しました。

バイナンスはFTXのユーザーを救うためFTXの買収を発表しましたが、FTXの経営危機はバイナンスの手に負える状態ではなかったため、翌日に買収を撤回しました。

これによって引き出しが殺到し、取り付け騒ぎで出金が停止しました。

下図は、FTXトークンの週足チャートです。

バイナンスがFTXトークンを全部売ると発表した2022年11月7日の始値は23.8ドル、11月10日は1ドル

4日間で-96%の暴落です。

11月12日、FTXはアメリカで破産法の適用を申請して、サム氏はCEOを退任し、代わりに企業再生の専門家ジョン・レイ氏がCEOに就任しました。

破産申請日の前後にFTXとFTX関連会社のウォレットがハッキングを受けて500億円~700億円ぶんの暗号資産が盗まれる奇妙な事件が発生しています。

FTXの破綻は他の暗号資産企業の経営悪化につながり、連鎖破綻する会社が出ました。

2022年12月、サム氏はバハマで逮捕され、アメリカで起訴されました。

保釈金は330億円

わぉ

サム氏は詐欺、マネーロンダリング、選挙資金規制法違反、顧客資産の流用など13件の罪状で起訴されていて、すべて有罪判決になった場合、最大115年の禁固刑の可能性があると言われています。

13件のうち、8件の罪状の裁判が今年2023年10月に始まる予定で、サム氏は8つ全てに対して無罪を主張しています。

残り5件の罪状の裁判は来年2024年3月に始まる予定です。

下図は2023年1月に発表された、FTX、FTX.US、アラメダリサーチが保有している暗号資産の一覧です。(サードパーティー取引所の暗号資産も含む)

引用元:Case 22-11068-JTD Doc 507

全部で33億ドルぶんの暗号資産

保有金額が一番多いのはソラナで6億8500万ドルぶんを保有しています。

FTXはソラナ財団と密接な関係があり、FTXはソラナ財団から大量のソラナを購入して開発を支援し、全流通量の16%~22%をFTXが保有していました。

一方、ソラナはFTXの株と取引所トークンを大量に保有していたため、FTXが破綻することで、ソラナの開発力の低下とソラナの大量売却が懸念されて、ソラナが他のコインより大きく下落しました。

FTX資産の清算提案として、毎週最大1億ドル~2億ドル相当のトークンを売却する提案が裁判所に提出されていて、明日9月13日に裁判所の判断が言い渡されます。

下図は、先日9月11日に発表されたFTX、FTX.US、アラメダリサーチが保有している暗号資産のトップ10です。

引用元:Case 22-11068-JTD Doc 2463

全部で34億ドルぶんの暗号資産

FTXトークンは1月の報告では2位でしたが、暴落したのでトップ10以下に落ちたのだと思います。たぶん

DOGE、MATIC、TONもいなくなりました。

1位はソラナの11億6200万ドルで、何と全体の34%をソラナが占めています。

トップ10の保有割合が全体の72%を占めていて、残り28%を400以上のトークンが占めていると記載されています。

下図は、今年9月10日から現在までの価格の変化率です。

時価総額20位以内の主要コインと、FTX保有トップ10のコインを表示しています。赤丸がトップ10入りのコインです。

ソラナの下落率が他より大きめで、トップ10入りしているAPT、STGの下落率も大きいです。

APEコインはトップ10入りしていませんが、APEコイン関係のNFT(BAYC)をFTXが大量に保有しています。

次に、ソラナブロックチェーンの分析ツール「SOLSCAN」を確認すると、FTXのコールドストレージというタグがついた3つのアドレスの存在を確認できます。

以下、参考ツイートです。

「FTX Cold Storage #1」に保管されているトークンの時価総額は9億2502万ドル

引用元:SOLSCAN

「FTX Cold Storage #2」に保管されているトークンの時価総額は1億9888万ドル

引用元:SOLSCAN

「FTX Cold Storage #3」に保管されているトークンの時価総額は3億5678万ドル

引用元:SOLSCAN

3つのストレージを合計すると14億8069万ドル

下表は、3つのストレージに保管されているすべてのトークンを集計し、保有金額(=保有枚数×現在価格)の上位30位を表示したものです。

1位はSerumの3億1389万ドル

続いて、2位MAPS、3位ビットコイン、4位Oxygen、5位ソラナとなっています。

表の右側の赤い部分が特徴です。

特徴は、現在の流通枚数よりも保有量が多いトークンがあることで、Serumは流通枚数の38倍、MAPSは215倍、Oxygenは241倍、Media Networkは31倍、Cream Financeは2倍をFTXが保有しています。

さらにSerum、MAPS、Oxygenは、発行上限の96%以上をFTXが保有しています。

他にも流通枚数の10%以上を保有しているトークンが沢山あります。

もし裁判所が毎週1億ドルぶんのトークン売却を許可して実際に売却され始めると、FTXの保有割合が多いトークンは大量の売り圧で暴落します。

例えば、MAPSの1億ドルぶんの枚数を現在価格をもとに計算すると32億4100万枚

MAPSの流通枚数4500万枚のところに32億4100万枚の売りが入ると間違いなく暴落します。

特定のトークンを一度に集中して売るはずはないのと、ロックされて売れないトークンもあるはずなので、こんな極端な売り圧にはなりませんが、断続的な大量売りは価格に大きなマイナスの影響を与えます。

以上から、FTXは34億ドルの暗号資産の保有しているといえども、流通枚数に対する保有割合の多いトークンは現在価格より大幅に安い価格で売ることになるので、実際に換金できる金額は34億ドルよりも大幅に低くなる可能性があります。

ただし、Serum、MAPS、Oxygenは1億ドル以上保有しているのにFTXの保有リストトップ10に掲載されていないので、トークンによっては34億ドルの集計対象になっていないものがある可能性が高く、保有暗号資産の集計ルールが気になるところです。

以上から、もしFTXが大量に保有するトークンのなかにプロジェクトが成功すると予想しているコインがあるなら、清算売却で暴落するのを期待して準備しておくのがいいと思います。

なお、ソラナ財団がFTXに販売したSOLは6年をかけて段階的にロックが解除されているので、短期間で全部売却されることはありません。

もしFTXショック2がきたらビットコインとイーサリアムは鉄板。APTとSTGの将来性はどんなものかチェックしておこうと思います。