ICOのプレセールを利用した詐欺の手口

2019年1月1日

Bitcoin.comの統計によると、ICOの81%が詐欺で、6%がプロジェクトが失敗、5%がプロジェクトが終了、残りの8%が上場するそうです。上場しても何もしないプロジェクトがあるので、ICOの当たりを引く確率はかなり低いことが分かります。
⇒外部サイト:Bitcoin.com「80% of ICOs are Scams

過去の記事でも説明したように、ICO詐欺は「投資金を集めたあと姿をくらますパターン」、「上場せずに失敗したことにするパターン」「上場しても何もしないパターン」などがあります。
⇒「仮想通貨投資詐欺の仕組み

本記事では、上記以外の別のICO詐欺のパターンについて説明します。なお、検証動画に出てくるコインを詐欺と言っているわけではありません。

先日キャンペーンが行われた詐欺プロジェクトのThe Secretで、畑岡宏光氏は詐欺師たちからも怒られそうな事実をバラしてしまいました。以下がその動画です。


(引用元:http://analyst-ex.com/L97395/b7700/1s111)

 

動画の話が難しいと思った人もいると思うので、ICOの仕組みから順を追って説明します。

ICOは「Initial Coin Offering」の略で、上場前のコインを売って開発、研究費を集めることをいいます。

下図のように、ICOでコインを売る期間は大きく分けて、プライベートセール、プレセール、クラウドセールの3種類に分けられます。

ICOのプライベートセール、プレセール、クラウドセール

 

プライベートセールとは、関係が密な人やグループにコインを販売する期間のことをいいます。開発者の友達、親戚、仲間などです。プライベートセールでのコイン価格は最も安くなります。

プレセールとは、条件を満たした人やグループにコインを販売する期間のことをいいます。会員やサポーターなどです。プライベートセールよりもコイン価格が高くなります。1期、2期、3期のように期間を分けて、徐々に価格を上げるICOもあります。

クラウドセールとは、広く一般的な人にコインを販売する期間のことをいいます。お金さえあれば誰でもコインを購入できます。プレセールよりもコイン価格が高くなります。この期間も1期、2期、3期のように期間を分けて、徐々に価格を上げるICOもあります。

このように、ICOのセールは先に買っておくほど得になります。なお、ICOのコイン価格は販売側が自由に決めます。

畑岡宏光氏はプレセール期間中にコインを売り抜いていいという条件のもと、プレセール1期に0.812円で1000万NAMを購入したと言いました。0.812円×1000万NAM=812万円です。

そして、もうじきくるプレセール3期のときに2.436円で1000万NAMを売却すると言いました。2.436円×1000万NAM=2436万円です。

畑岡宏光氏の話が事実であれば、彼はノーリスクで2436万円 – 812万円 = 1624万円を手に入れたことになります。しかし、これは上流の情報でも何でもなく、犯罪ともいえる単なるズルです。(※法律がないので犯罪にはなりません)

NAMコインの売買

 

畑岡宏光氏がプレセールで売り抜けられる条件で購入できたということは、当然のことながら、詐欺師ネットワークによって他の詐欺師たちも同じ条件の話が回っていることになります。

では、「プレセール期間中にコインを売り抜ける条件」を使ってどのような詐欺が編み出されるのかを説明します。

詐欺の黒幕はまずプロジェクトの代表者を用意します。経歴に問題が無く、立派な肩書きがある人が望ましいでしょう。ホワイトペーパーには「AI、ロボット、地球温暖化対策、貧困問題、バイオメトリクス、高度医療技術」などを使って、人々が食いつきそうな夢物語を書きます。

詐欺の黒幕は詐欺師ネットワークを使って詐欺師たちに新規プロジェクトの立ち上げとプライベートセールの実施を連絡します。特典として「購入したコインをプレセールで売り抜けていい」「プレセールで売れなかったら返品してもいい」などを付けます。

詐欺師たちは超絶安い価格でコインを大量に買いました。

 

詐欺師たちは一般人にコインを宣伝します。「超優良コインだから爆上げ間違い無し。プレセール価格から10倍、いや100倍だって夢ではないでしょう。」

それを聞いた一般の人達は、こぞってプレセールでコインを買います。その裏で詐欺師たちは数倍の価格になったコインを淡々と売り抜けます。

 

無事に全部売り抜けることができたので詐欺師たちは相場から去って行きました。

 

以上、黒幕が作ったプロジェクトを活用して詐欺師たちがプレセールで売り抜いていく詐欺の仕組みです。

詐欺師たちがよく言う「超上流の情報」とは、人々に豊かさを提供して成功した正当な大富豪からの情報ではなく、情報弱者をだましてお金を稼いできた詐欺師ネットワークによってまわってくる情報のことをいいます。

ICOの9割以上が詐欺または失敗に終わります。ICOに参加すると詐欺師ネットワークの養分にされる可能性があることを考慮しながら、慎重に投資先を選びましょう。