ジャスミー関連会社が国税庁に差し押さえられた。ベルコインは?
Jasmy(ジャスミー)は、IoTとブロックチェーンを融合させる日本のプロジェクトです。
代表者はソニー元社長の安藤国武氏、開発者にソニーのPCブランドVAIOの開発メンバーがいることで注目されました。
アンゴロウサイトの直近のジャスミー調査は、今年2月に公開した以下の動画です。
1月から2月にかけてジャスミーの価格が2倍以上に急騰したので、上昇トレンドが続く可能性を調査し、結論は「このまま単独で爆上げが続くような状況ではない」と予想しました。
下図は今年のジャスミーの日足チャートです。
2月に年初来高値をつけ、5月から下降トレンドに入り、8月に元旦価格を割って年初来安値をつけました。
下図はジャスミーの週足チャートです。
2021年1月に上場し、2月に最高値5ドルをつけました。
その後暴落モードに変わり、4ヶ月で-99%下落しました。
2021年後半の暗号資産全体の上昇トレンドの波に乗ってジャスミーも上昇したあと、2021年11月に大手取引所のバイナンスへの上場を果たしましたが、上場直後から強くて長い下降トレンドに入りました。
2022年以降がよく見えないのでY軸を対数表示にすると下図になります。
バイナンス上場から1年以上下降トレンドが続き、2022年12月に最安値をつけました。
バイナンス上場日の価格から-99.0%
現在価格はバイナンス上場日の価格から-98.6%です。
以上のように、ジャスミー価格の低迷はまだ続いています。
次に、ジャスミーの関連会社が国税庁に差し押さえを食らった話に入ります。
ジャスミーが取引所に上場する数年前の話です。
2018年にジャスミーは投資家と借用書の契約を交わすかたちのトークンセールを実施しました。
トークンセールを主導したのは、ベルウッド・エンタープライズ株式会社という日本の会社です。
2006年に設立され、ゴールドストーンキャピタル株式会社、ウッドストーン株式会社の商号を経て、2015年にベルウッド・エンタープライズ株式会社として法人登録をしています。
主な事業内容は「有価証券の運用、投資、売買及び保有」
理由は不明ですが、ベルウッド・エンタープライズ株式会社は過去に法人登録を2回行っています。
下表は法人登録の流れです。
年 | ベルウッド・エンタープライズ 株式会社①(本社、千代田区) | ベルウッド・エンタープライズ 株式会社②(本社、港区) |
---|---|---|
2015年 | 法人登録 | |
2016年 | ||
2017年 | ||
2018年 | ベルウッドコーポレーション 株式会社に名称変更 | 法人登録 |
2019年 | ||
2020年 | ||
2021年 | ②と合併して解散 | |
2022年 |
2015年に1回目の法人登録をし、2018年に社名をベルウッドコーポレーション株式会社に変更したあと、別のベルウッド・エンタープライズ株式会社の法人登録をしています。
そして2021年に吸収合併でベルウッドコーポレーションを解散させ、ベルウッド・エンタープライズのみが残りました。
下図は、ジャスミー株式会社とベルウッド・エンタープライズ株式会社の法人情報です。2つの会社の所在地が同じです。
下図は、ジャスミー公式サイトのアナウンスです。
現在も問い合わせ先のメールアドレスがベルウッド・エンタープライズ株式会社宛てになっています。
ベルウッド・エンタープライズ株式会社はジャスミープロジェクトのオーナーであると言われていて、
上記のように、会社の所在地が同じなのと、ジャスミーの問い合わせ先がベルウッドであることから、2つの会社は関連会社と考えて間違いありません。
そして、先日9月8日に、コインチェック創設者の和田晃一良氏が以下を報告しました。
図アップ
あ、、
差し押さえられている。
(´゚д゚` )
和田氏はマンションの購入を検討しているのか、あるマンションの39階部分の登記簿を確認したところ、
2021年9月にベルウッド・エンタープライズ株式会社が買い、今年2023年2月に国税庁によって差し押さえられていることが明らかになりました。
債権者は財務省
差し押さえの1週間後に、東京都が差し押さえに参加しています。
今年2月に国税庁と金融庁がJasmyプロジェクトの本格的調査を開始したというニュースが報じられていましたが、もしかすると、調査が進み摘発する方向に進んでいるのかも知れませんね(知れませんね)
ベルウッドと聞いて、ベルコインを連想した人
ナイスです。
私も連想しました。
ベルコインは、ベルウッド取引所という暗号資産取引所が発行する取引所トークンです。
ベルウッド取引所はマルタの海外法人が運営する取引所であり、ベルウッド・エンタープライズ株式会社と関係があるのかは明らかになっていません。
2018年にベルウッド・エンタープライズの法人登録が行われ、そのあと日本人向けにベルコインが販売され、2019年4月にベルウッド取引所にベルコインが上場しました。
2019年のベルウッド取引所へのアクセスのほとんどが日本からでした。
下図は、ベルウッド関連会社の代表取締役です。
ベルウッド・エンタープライズ株式会社の代表取締役は、鈴木正則氏
その他、鈴木佳子氏、鈴木聖奈氏が過去に取締役を務めていて、現在、鈴木聖奈氏はイーストウッド株式会社を経営しています。
そして、ベルウッド取引所のCEOは、鈴木隼人氏
何だね、この奇妙な鈴木つながりは。。
ベルウッド取引所が話題になった理由の1つは、暗号資産の高価買取サービスです。
高価買取サービスは、何とベルウッド取引所がICO割れした暗号資産を市場価格より高く買い取るサービスです。
下表は、2019年8月時点の現在価格と買取り価格の一覧です。
利益率が一番高いのはオーガー(REP)で、市場価格の2倍の価格で売れました。
1.5倍以上も多く、当時すでに日本の取引所に上場していたリスク(LSK)は市場価格の1.6倍の価格で売れました。
売却可能枚数は、ベルウッド取引所に入金したコインの半分までという制約はありますが、ユーザーはコインを市場で買い、ベルウッド取引所に送金して高価買取サービスで売るだけでノーリスクで稼げることで話題になりました。
勢いづいたベルウッド取引所は、2019年12月にベルコインのIEOを実施し、取引所で10円前後で売買されているベルコインをIEO価格101円で販売し、数時間で売り切りました。
こうして話題になったベルウッド取引所ですが、その後、ある現象に苦しめられるユーザーが出始めました。その現象は、
出金ができない。
ベルコインを購入するためにビットコインやイーサリアムを入金したユーザーや、高価買取サービスの対象コインを入金したユーザーが、サービスを利用したあと取引所からコインを出金しようとしても出金できずに放置される現象が発生しました。
一旦キャンセルして再度出金申請をしたり、問い合わせフォームから出金申請をするなど、色々頑張っている様子でしたが、出金できた人はいません。
あれから4年が経過しましたが、未だに出金できた人は見つかっていません。
そして、ベルウッド取引所は消え、多くの日本人投資家が詐欺被害者となりました。
念のため、もう一度言っておきますが、
ベルウッド取引所はマルタの海外法人が運営していた取引所であり、ベルウッド・エンタープライズ株式会社と関係があるのかは明らかになっていません。
しかし、ベルウッドという特徴的な名前の暗号資産企業は他にないのと、ベルウッド取引所とベルウッド・エンタープライズ株式会社には妙な共通点があるので、現在進行中の国税庁と金融庁によるJasmyプロジェクトの本格的調査でベルコインとの関係あるなしも明らかになることに期待しつつ結果を待ちます。