bitFlyer Lightning パラボリックSARの見方

2018年1月23日

本記事ではbitFlyer Lightningで使えるパラボリックSARについて説明します。

パラボリックSARとは、上昇トレンドと下降トレンドの切替わりをいち早く察知して、売り、買いをタイミングよく行うために使われる放物線のことです。

パラボリック(parabolic)は「放物線で」という意味です。SARは「Stop And Reverse」の略です。

まずはパラボリックSARを表示してみましょう。下図赤枠にマウスポインタを合わせると下にオーバーレイの設定項目が表示されます。

パラボリックSARにチェックを入れると表示され、チェックを外すと非表示になります。パラボリックSARの右に表示されている2つの入力欄は放物線を描画するための計算式で使われる値です。設定値については後で詳しく説明します。

bitFlyer Lightning オーバーレイ パラボリックSAR

 

下図はパラボリックSARを表示した結果です。トレンドの勢いを追いかけるように、点の流れが放物線を描いています。

上昇トレンドのときはローソク足の下方に点があり、下降トレンドのときはローソク足の上方に点があるのが分かります。この点のことを以降はSARと表現します。

bitFlyer Lightning パラボリックSAR

 

ローソク足の上下のSARはどのように入れ替わるのか見てみましょう。

下図の左下を見て下さい。上昇トレンドとともにSARも上昇しています。そして、①でローソク足とSARがぶつかりました。ここで下にあるSARが上に移動されることになります。

上に移動したSARの高さ(価格)は過去2個ぶんのローソク足のなかの最高値と同じにします。

bitFlyer Lightning パラボリックSAR

 

今度は下降トレンドとともにSARも下降しています。そして①でローソク足とSARがぶつかりました。ここで上にあるSARが下に移動されることになります。

下に移動したSARの高さ(価格)は過去2個ぶんのローソク足のなかの最安値と同じにします。このようにローソク足にぶつかったらSARの上下を入れ替えるを繰り返すようにして放物線が描かれていきます。

bitFlyer Lightning パラボリックSAR 下降トレンド

 

次に、SARの高さ(価格)の決まり方について説明します。下図のSARの横に水色線を引いて高さを見比べやすいようにしました。水色線同士の隙間の大きさを見ると分かるように、5個目から急に隙間が大きくなっています。

SARの高さの決まり方

 

隙間が大きくなった理由について順を追って説明します。

まずSARを求める式は以下になります。

今回SAR = 前回SAR + 係数 ×(最高値ー前回SAR)

何だこの訳の分からない式は!?

気持ち分かります。1つ言えることは、SARを記入するために必要な材料は「前回のSAR」、「係数」、「最高値」の3つが分かればいいということです。

「最高値」とは、SARの上下が切り替わったあとにつけた最高値のことです。上昇トレンドでは最高値ですが、下降トレンドでは最安値になります。

「係数」は、パラボリックSARの設定項目にある2つの入力欄に設定する値です。初期値は「0.025」と「0.05」が設定されています。

左の設定値(0.025)はSARの上下が切り替わったときの最初の係数です。そして、切り替わってから作られたローソク足の最高値が更新されたら、この値がさらに可算されます。例えば、0.025の場合、最高値が更新されたら0.05になるということです。

右の設定値(0.05)は係数の最大値です。係数は最高値が更新されるたびに青天井で増えていくのではなく、右の設定値以上は増えないようになっています。例えば、0.05の場合は、係数は0.05以上には増えないということです。

bitFlyer Lightning オーバーレイ パラボリックSAR

 

何だかややこしくなってきたので、先ほどの公式を使ってSARを計算してみましょう。

下図は実際のチャート(2016年7月10日)に高値を書き込んだものです。SARは計算結果を表示しています。

一番左端のSARは過去2個ぶんのローソク足のなかの最安値と同じになるので64500円です。次のSARを計算するのに必要な材料は「前回のSAR=64500」、「係数=0.025」、「最高値70721」です。

SAR2個目 = 64500 + 0.025 × ( 70721 – 64500) = 64655.525

SAR3個目 = 64655.525 + 0.025 × ( 70721 – 64655.525) = 64807.16188

SAR4個目 = 64807.16188 + 0.025 × ( 70721 – 64807.16188) = 64955.00783

SAR5個目 = 64955.00783 + 0.05 × ( 70555 – 64955.00783) = 65235.00744

こんな感じで、上昇トレンドにおけるSARはローソク足に向かって少しずつ高さを上げていきます。

留意点は、bitFlyer Lightningでは過去2個のローソク足の高値を超えたら、高値更新と判定されて係数が増加することです。bitFlyer Lightningのチャートは他社製品(Cryptowatch)を利用しいるためサポート対象外となり事実関係を確認することができませんが、私の検証結果ではそのような結果が出ています。

すなわち、SARの5個目から急に隙間が大きくなった理由は、4個目のローソク足が高値更新と判定されて係数が0.05になったためです。

また、公式の計算に使う最高値は過去2個のローソク足の中の最高値を用いているようです。SARのピッタリ正確な値が表示されてないため答え合わせができませんでしたが、概ね想定どおりの値になっています。

SARと高値の関係

 

ちなみに、SARの上下が切り替わったとき、直前のローソク足が最高値だった場合、1回ぶんSARは上にも下にも動かなくなります。

SARが下がらないパターン

 

で、何に使えるの?

下図のように、SARが上から下に切替わったら上昇トレンドになると判断してビットコインを買い、下から上に切替わったら下降トレンドになると判断してビットコインを売ります。これを手際よくやって売買差益をとっていくのに使えます。

売りのタイミングでは、所有しているビットコインを売るだけでなく空売りを入れることで下降トレンドでも利益を狙えます。

パラボリックSARの売買タイミング

 

しかし、あくまで私の主観ですが、パラボリックSARはそれほど使い勝手がいいとは感じませんでした。というのも、決められたとおりに売買しても逆に損失が出ることも多いからです。

下図はSARの位置が切り替わったときにうまく買いと売りを入れましたが、買った価格より売った価格のほうが低くなったパターンです。

パラボリックSARの売買で損失がでるパターン

 

また、切替わったら必ずトレンドがしばらく続くとは限らず、切替わったあとにすぐまた切替わることもあります。

パラボリックSAR

 

パラボリックSARは確実にトレンドが切り替わることを検知する指標ではなく、切替わると仮定した位置に点を置いておく指標です。そう考えると、パラボリックSARを同じ設定値で使う人が多くなると、期待通りにチャートが動くことも多くなりそうですね。