TONが時価総額トップ10入り。バイナンス未上場の今が買いか?

アンゴロウ

TONは、Telegramが開発していたブロックチェーンです。

Telegram Open Network(テレグラム・オープン・ネットワーク)

略して、TON(トン)

Telegramは月間アクティブユーザー8億人の人気のメッセージアプリです。日本でいうLINEみたいなアプリです。

2017年にTelegramが超高性能ブロックチェーンを開発することを発表しました。

秒間トランザクション件数の予定は何と

数百万件

2017年にお金持ち限定のトークンセール(1枚0.37ドル~1.33ドル)を実施し、約1820億円を資金調達できたので一般人向けトークンセールは中止になりました。

2019年から一般人向けの転売が盛んに行われるようになり、1枚1.7ドル~4.9ドルの様々な価格で転売されました。

ちなみに日本の取引所でTONを転売したのはリキッドで、1枚4ドルで販売したあと、問題が生じて返金しました。

引用元:Liquid公式

TONの開発は進み、2019年10月にローンチされる予定でしたが、ローンチ直前にアメリカ証券取引員会のSECがTONを証券法違反として停止命令を出しました。

そこで、アンゴロウチャンネルでは2019年10月にTONは今が買いなのかを動画で予想しました。

以下が予想シーンです。

予想は

「買っておかなくてもいい」

「ゆえに、1ドル以下なら勝負するのはありかも知れませんが、いまGRAMを買っておかなくてもいいと判断しました。」

と発言しました。

理由は4ドルでFDV(完全希薄化後時価総額)を計算すると、時価総額ランキング4位になるので、2ドル前後で買っても上昇余地が2倍前後に限られ、TONの開発が続くのか分からない状況で大きなリスクを取ってまで買いたいほどのリターンが期待できないからです。

下図はTON(当時ティッカーはGRAM)のIOU取引のチャートです。

2020年5月にTONが敗北宣言をし、TON価格が0.0001ドルまで暴落しました。

TONは投資家に約1270億円を返金しました。

しかし、これにて終了とはならず、オープンソースコミュニティのTON財団が開発を引き継ぎ、目立たないかたちでTONの開発は続き、2021年にTONの現物が取引所に上場しました。

下図はTONの週足チャートです。

最高値は2021年12月につけた5.47ドル

最安値は2022年6月につけた0.74ドル

下図はTONの今年の日足チャートです。

年初来高値は1月の2.6ドル

今年5月から大きく下落しはじめて、6月の中国恒大ショックで1ドルを割って年初来安値をつけました。

8月に上昇に転じ、9月に元旦価格を超えて2.5ドル台まで上がりました。

下図は8月1日の価格を0%として現在までの変化率を表示したものです。

時価総額20位以内の主要コインを表示しています。

8月以降は大半の主要コインが大きく下落しているのに対し、TONは2倍に上昇しました。

このように、TONは今年1月を基準にすると上昇率は低いですが、8月以降、他の主要コインよりも大きく上昇し回復力の強さを見せています。

最近の上昇によって、TONは時価総額ランキングトップ10入りを果たしました。

引用元:CoinMarketcap

もし現在の上昇トレンドが続いた場合、ドージコインとカルダノを抜いて7位までありえます。

TONの上昇の背景にあるのは、TON SpaceというTONブロックチェーン基盤のウォレットが公開されたことです。

8月に開発者が利用可能になりました。

9月にすべてのユーザーが利用可能になりました。

このTON基盤ウォレットが公開されたポジティブニュースが開発の順調をアピールしただけでなく、8億人のTelegramユーザーの一部がTONにアクセスする期待感がTON価格にプラスの影響を与えていると考えられます。

ここで1つ疑問なのは、

なぜ大手取引所のBinanceやCoinbaseはTONを上場させないのか?です。

BinanceとCoinbaseは時価総額上位のコインをほとんど上場させていますが、なぜか未だにTONを上場させていません。

今までのTONは時価総額30位以内で上場してもおかしくはなく、さらに今回の上昇でトップ10入りしたとなれば、さらに上場してもおかしくはありません。

TONを上場させない理由を考察します。

上場させない理由の可能性の1つとして考えられるのは、TONが事実上、証券と認めたから

Coinbaseはアメリカの取引所で、2020年にリップル社がSECに提訴されたあとXRPを上場廃止にし、今年リップル社が一部勝訴した結果を受けて、XRPを再上場させています。

TONの開発はオープンソースコミュニティに引き継がれたものの、TONは敗北宣言をすることで証券であることを事実上、認めたという流れを考慮して、CoinbaseはTONを上場させていないのかも知れません。

これが理由なら、Binanceには上場していていもおかしくないよね。

上場させない理由の可能性の2つ目は、ロシアへの経済制裁を考慮したため

ロシアはウクライナに戦争を仕掛けたことで世界各国から経済制裁を受けています。

Telegramはロシア人が開発し、ユーザーはロシア人が最も多いです。

Telegramは匿名性を重視したアプリでロシア政府とつながりがある可能性は低いですが、Binanceはロシアに課されている経済制裁を順守すると公言していて、最近ではロシア担当者社員が相次ぎ退職したのと、ロシア市場撤退の憶測のニュースも報道されています。

Binanceはロシアへの経済制裁を考慮して、TONを上場させないのかも知れません。

上場させない理由の可能性の3つ目は、取引量が少ないから

下図は、2021年1月から現在までの取引金額占有率(30日移動平均)です。

時価総額20位以内の主要コインを表示しています。(ステーブルコインは除く)

1位ビットコイン(45%)、2位イーサリアム(36%)、3位XRP(4%)

TONは16個中、15位の0.17%です。

TONのグラフがよく見えないのでビットコインとイーサリアムを非表示にすると下図になります。

一番下あたりに見える水色がTONです。最近上がってきているように見えます。

下図は、TONの取引金額占有率の変化です。

9月18日現在の占有率が過去最高です。

下図はブロックチェーンのTVLランキングです。

TVL(Total Value Locked)は、ブロックチェーンにロックされている暗号資産をドルに換算した金額です。

TVLの大きさを比較することで、ユーザーが多いブロックチェーンをある程度推測できます。

TONは現在61位、TVLは1032万ドル

引用元:DefiLlama

下図青い線はTONのTVL

赤い線はTONのTVL占有率で、すべてのブロックチェーンのTVLに対してTONのTVLの割合が表示されています。

TONの現在の占有率は0.026%

下図は、主要コインの時価総額占有率を取引金額占有率で割った値です。

値が高いと、他のコインよりも取引金額が少ないのに時価総額が高すぎるのように、過大評価されている可能性が高くなります。

2倍以下の主要コインが多いなか、TONだけ4倍以上をつけています。

以上から、TONは時価総額トップ10のコインと肩を並べるほどの取引金額とTVLにはまだなっておらず、TON価格は期待上げによって大きく上昇している状況といえます。

トップ10に入るほど上昇した理由は、流通枚数にあります。

下図緑色の山はTONの流通枚数の変化です。

2021年12月から2023年6月までの2年半はずっと12億枚のまま変わらなかったのが、2023年6月に急に2.8倍の34億枚に増えました。

ずっと変化していなかった理由は、おそらく、開発チームが統計サイトに流通枚数の変化を報告をしていなかったためとだと思いますが、急に増えすぎ。

下図青い線はTONの時価総額

緑色の線は、仮にTONの流通枚数が12億枚のまま今も変わっていないと仮定した場合の時価総額です。

6月13日に流通枚数が2.8倍に急増したあと、TON価格はほとんど下がらずに上昇トレンドに入ることで時価総額は82億ドルに達し、トップ10入りをしました。

もし、流通枚数が12億枚のままだったら時価総額は29億ドルで、現在は24位でした。

このあと取引金額とTVLの現在の実力に沿ったポジションに向けてTON価格が動くとしたら、価格は約2分の1以下に落ちていくことになります。

しかし、Telegramユーザーの参入がTONの需要を急変させる可能性もあるので、そのあたりは今後も要チェックします。

TONより低い取引量やTVLでBinanceに上場しているコインはあるので、TONの取引量の少なさが上場させない決定的な理由にはなりません。

まとめると、

最近TONが上昇して時価総額トップ10入りをした理由は、TON基盤のウォレット「TON Space」がリリースされたのと、流通枚数が2.8倍に増えたから

BinanceとCoinbaseの大手取引所がTONを上場させていない理由の可能性は、TONがSECに負けた。ロシアへの経済制裁を考慮。取引量とTVLが少ない。

などが可能性として挙げられrますが、確実といえるものがないので何か分かったらX(旧ツイッター)で報告します。

Binanceは今までずっと頑なにTONを上場させなかった。

ということは今後も上場させる期待は薄い。

時価総額ランキングはすでに9位

トップ10位のコインと肩を並べるほどの需要は今のところなし。

今は買いではない。

という結論になりました。